井上孝司の Defense Column
 〜 石原都知事の「三国人」発言について

ご存知のように、東京都の石原知事が「不法入国した三国人の犯罪が云々」と発言した挙句に、「大地震の時には暴動が発生するかもしれないから自衛隊の治安出動を」と発言し、物議をかもした。

外国人が多ければ犯罪が起こるというのは短絡的だし、もう長い間に渡って、日本には韓国や中国出身の人も住んでいるわけだから、これはどうにも失敬な言い草だと思うし、「遺憾の意」を表明する羽目になったのも仕方なかろうと思う。

とはいえ、とみに最近、外国人がらみの事件が増えているのは確かで、これはちゃんと手を打たないと、将来的にはとんでもないことになるのではないか。


まず、話を整理しておこう。私の意見をまとめると、次のようになる。

  1. 外国人・日本人を問わず、日本国内で犯罪を犯したものは、日本の法律に従って等しく司直の手にゆだね、裁かれるべきである

  2. いいかえれば、治外法権を作ってはならない

  3. 外国人の不法入国は、国籍・方法の如何を問わず、断固として阻止しなければならない

  4. よしんば合法的に入国したものであっても、目的がテロなどの行為にあれば、断固たる取締りが必要である。

1. と 2. は、沖縄で発生した米海兵隊員の暴行事件を念頭に置いたもの。以前にも主張したように、問題は基地の外で犯罪を犯した米軍人に対して日本の司直が手出しできないというのが問題の本質であるから、こういうことになる。

逆に、特定の国籍・所属の人だけを狙い撃ちにするというのは問題だ。沖縄では暴行事件をきっかけに基地の追い出し運動が加速したが、これは基地の追い出し運動が暴行事件に便乗して騒ぎを大きくしたと見るべきだろう。
日本人だろうが米海兵隊員だろうがイラン人だろうが火星人だろうが、同じ犯罪を犯した者は、同じように裁かれなければならないのだ。

個人的に、韓国、あるいは中国系の人との付き合いも経験しているが、彼らはいずれも、ごくまっとうな人間であった。要は、出身地や所属によって、単純に善悪を区別するのは間違っているということだ。

次に 3. と 4. だが、特に中国から、組織的な不法入国が頻発しているのは御存知のとおり。また、秘密工作員の潜入というケースも含まれる。どこの国とはいわないが。
本当に治安に悪影響を及ぼすのは、こういうケースのハズだ。これこそ、しっかり取り締まらなければならない。なにも、正規軍が大挙して上陸作戦を行うのに対処するだけが安全保障問題ではないのだから。

念を押しておくが、ここで問題にしているのは、国籍ではなく、手段や目的だ。たまたま昨今は中国からの密航が問題になっているが、何も中国だけを狙い撃ちにしろといっているわけではない点、御理解いただきたい。

そもそも、不法入国が多いということは、それだけ、日本が「不法入国しやすい」と思われているのではないかと心配になる。もし、このことを利用して、工作員を不法入国させてテロによる攪乱行為を企てる国が出たら、治安当局はどうするつもりだろう?


なお、不法入国に関連して、日本籍のパスポートの偽造についても、何らかの対策が必要なのではないかと思う。得意のハイテクで IC カード化するもよし、マイクロソフト製品のパッケージのように偽造を難しくするための細工を追加するもよし。

以前、サイバーテロ対策に関連して、「国民総デジタル ID 構想」というのを書いたことがあるが、パスポートでも運転免許証でも、単に書類を作るだけではなく、電子化した認証システムを組み合わせることで、セキュリティ対策の役に立たないだろうか。ちょうど、電子認証を正規の認証手段として認める法案が国会を通ったみたいだし。

それによって、偽造パスポートによる不法な入国が防止、あるいは抑止できれば、結果として治安の悪化に歯止めをかける一環になると思う。楽観的過ぎるかもしれないが…