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井上孝司の Defense Column
〜防衛庁の物資調達は "ぬるま湯" ではないのか?目下、防衛庁向けの燃料納入にかかわる談合疑惑が、マスコミを賑わせている。もちろん、談合はけしからんことだが、これを単に石油業界だけの問題と見ていいのだろうか。
どこの国でも程度の差はあれそうだが、国からの仕事、特に軍関係の仕事というのは、景気に左右されにくく、安定性が (他と比べて) 高いということで、参入を狙う企業が多く、結果として汚職の温床にもなってきた。どこの国の軍でも、多かれ少なかれ汚職事件を経験してきているのは、残念だが事実だ。
また、政府ならびに軍側としても、「国内産業基盤の維持」といった大義名分の元に、そういった事情を、比較的大目に見てきた部分があるのは否めない。
日本の例で見ても、防衛庁向けの装備品納入というのは、その多くが、特定企業の手に握られてきた。例を挙げると、
- 潜水艦 : 三菱重工神戸 & 川崎重工神戸
- 戦車 : 三菱重工相模原
- 小銃 : 豊和工業
- 砲熕兵器 : 日本製鋼所
- 戦闘機 : 三菱重工名古屋
また、飛行機のように「各社持ち回り」になっていても、実は、主契約者 (プライム) にならなかった他のメーカーが下請けという形で参加しているという、いわば「出来レース」状態になっているのが事実だ。
たとえば、F-15J は三菱重工がプライムだが、川崎重工と富士重工が機体部品の製造にかかわっているし、川崎重工がプライムの P-3C にしても、今度は三菱重工が下請けに回っていたりする。確かに、武器輸出をしていない日本では市場が小さく、複数メーカーを維持するほどの需要は創出できないのは仕方ない。しかしながら、そのことに便乗して、特定メーカーの寡占状況、そして高コスト体質を作り出してきた面があるのは否めないだろう。
かくして、ベラボーに長い開発期間をかけた挙句に、世界相場の 2 倍以上高価な戦車や、M1 戦車並みに高価な歩兵戦闘車ができたりするというわけだ。
F-22 並みに高価な F-15 や FS-X というのもその中に入れていいかもしれないが、ライセンス料をアメリカのメーカーに払わなければならないという事情を考えると、同情の余地がないわけではないのだが、それにしても高価であることに違いはない。
ただし、メーカー各社の名誉のために付け加えると、ASM-1 対艦ミサイルのように、関係各社の努力によって画期的な低コストを実現した例もある点を書き添えておかなければいけないだろう。
もともと、この国では、「平等」といったときに、「機会の平等」ではなく「結果の平等」を求める傾向が強い。このこと自体にそもそも問題があると思うが、政府関係の物品調達にこの考えが持ち込まれると、今回のような「談合によるシェアの分け合い」といった事件が起こるのではないかと思う。
「結果の平等」、つまり、「どの会社も "平等に" 利益にありつくことができるように、談合によって価格を維持する」というわけだ。
しかし、それでいいのだろうか。きつい言い方をすれば、今回の談合事件に関係した各社は、(談合の存在が事実だとすれば) 国民の税金にたかったということである。日本政府がよほど優良財政でおカネがうなっているというならともかく、今のような厳しい財政状況下で、そんな態度が許されるわけはない。
国内産業保護も大切ではあるが、それにあぐらをかく状況が許されるはずはない。もっと、防衛庁は国内外の各社に門戸を開いて競争原理を導入するべきであるし、それに参加する各社も、税金にたかるような卑劣なマネをするべきではないのである。
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