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井上孝司の Transportation Column
〜 新幹線に「ゆとり」は不可能か?新幹線といえば日本の鉄道界の大動脈だが、どうも評判が悪いことがある。それは、たとえば「新幹線は輸送力重視のあまり、詰め込み主義でゆとりがない。食堂車やラウンジ車をつけるべきだ」というものであったりする。確かに、1985 年に登場した 100 系は、2 階建ての食堂車やグリーン個室を設置し、接客設備のレベルの高さという点では、今でも一級品といえる。それが、その後の一連の新型車ではレベルダウンしているのは否めない。
とはいっても、2 階建て新幹線が必須アイテムだったり、混雑時間帯には 16 両編成の <のぞみ> が恒常的に満員になってしまうのが現実だから、この需要をさばくのが先決、というのは理解できるし、かといって一部の列車だけにゆとりを持たせるのも、運用の硬直化という点で感心できないものがある。
ただ、速度向上が進み、その分だけ営業時間が短くなっていることを考えると、食堂車はまず採算には乗らないだろう。それに、編成中に一ヶ所だけ食堂車があっても、そこまで行くのが大変だから、結局、食堂車の恩恵に浴する乗客は一部のみということになって、あまり効率の良い投資とはいいがたい。
また、ラウンジ構想にしても、閑散時はウケそうだが、混雑時には却って無駄な空きスペースとして怨嗟の的になりそうだ。混雑時には座席確保が第一なのは間違いないのだから。
そこで個人的な解決策だが、次のようなものはどうだろう。
まずラウンジ車だが、常設ではなく、客席の一部を区切り、閑散期のみ設置とする。そして、輸送力が必要になったら一晩で客室に戻してしまう。
これには客室設備の急速転換技術が必要だが、内装をモジュール化すれば、まったく不可能ということはないだろう。もっとも、マルスのプログラミングの方が大変そうではある。
同じ方法で、グリーン車や普通車の一部 (半車程度か?) を個室化できると、もっとありがたい。少なくとも、政治家や芸能人、子供連れの利用促進には効果があるだろう。供食設備を設けるのはもう少し手がかかる。なにしろ、水まわりの配管が必須だから、一夜にして設置・撤去というのは難しかろう。だから、500 系のように売店スペースがあれば、そこの設備をもう少し充実させた上で、隣接させてラウンジを設けるという方法で勘弁してもらえないだろうか。で、混雑期には売店のみとし、ラウンジは (申し訳ないけれども) 前述のように客室に戻してしまう。
少なくとも、今の新幹線のスピードで本格的な食堂車が経営的に成立するとは思えないので、既製の弁当より多少立派な軽食を提供できる設備と食べる場所があるだけでも、改善にはなると思うのである。
それにつけてももったいないと思うのは、<こだま> の運用に入っている 100 系 X 編成の、営業していない食堂車だ。今から <ひかり> に復帰させるのは性能的に難しいから <こだま> で使いつづけるとしても、それこそラウンジ車にでも改装できれば (そのままでもいいかもしれない)、急がないお客の需要誘導に効き目がありそうなものだ。
なお、ラウンジ車を設置するなら、ぜひとも実現したいことがある。それは、お行儀の悪い子供の取締りである。どうして昨今の親は子供が騒いでいても野放しにするのかと思うが、ラウンジ車など設置した日には、それこそ騒々しい子供で占拠される可能性がある。だから、社会の迷惑にならないように、親も乗務員も、周囲の迷惑になるような騒々しい子供は、バンバン叱り飛ばすべきであろう。
個人的には「禁子供車」が欲しいと思うこともあるぐらいだ。私が混雑期には出歩かずにおとなしくしている理由の一つが、実はこれである。![]()