井上孝司の Transportation Column
 〜 JR 北海道の増結サービスを見習いたい

JR 北海道では、札幌を起点に、以下のような特急・急行のネットワークを構築している。
  • 札幌-函館 : スーパー北斗/北斗
  • 札幌-帯広 : スーパーとかち/とかち
  • 札幌-釧路 : スーパーおおぞら/おおぞら
  • 札幌-網走 : オホーツク
  • 札幌-旭川 : スーパーホワイトアロー
  • 札幌-稚内 : 利尻/宗谷/サロベツ
  • 旭川-稚内 : 礼文
このうち、最新鋭の振子気動車、281 系と 283 系を使用している <スーパー北斗> 7 往復と <スーパーおおぞら> 4 往復の、強力なエンジンによる速度性能と振子の導入による高い曲線通過性能が注目されているが、今回注目したいのは、その点ではなく、JR 北海道が臨機応変に対処している増結措置についてだ。

日本のように波動の大きい環境下で鉄道運営をしていると、どうしても季節や曜日によって、混雑する日としない日が出てくる。混雑しているのに増結できないのはみすみす需要を見逃すもったいない話だし、閑散期なのにガラガラの車両を走らせているのは不経済だ。

JR 北海道では、波動対策として、基本編成に対する「1 両単位」の増結をしている。ポイントは、この「1 両単位」と、もうひとつは車両の多くが貫通型で、増結した車両が基本編成から遮断されることがないという点だ。
実際、<スーパー北斗> でも <スーパーおおぞら> でも、しばしば編成の札幌側に増結を行っている風景が見られる。ときには、基本編成に中間車が追加されていたり、グリーン車が 2 両になっていたりすることもあるが、基本は札幌側への増結のようだ。


増結のメソッドとして、編成単位の増結という方法もある。フランスの TGV が有名だが、首都圏でも新幹線 E4 系 (8 両×2) や <フレッシュひたち> (7 両×2) の例がある。
とはいうものの、いきなり定員が二倍になるというのは、よほど波動が激しい場合でなければ、どうも極端過ぎるように思える。その点、「1 両単位」なら、需要に見合った増結ができるから、特に北海道のように輸送単位が比較的小さい土地には向いているだろう。

また、増結や付属編成の分割を常態としているのに、先頭車が非貫通式になっていて、サービス上のボトルネックになっている例が他社にはいろいろある。
たとえば、JR 東日本の <スーパーひたち> がいい例だが、JR 九州の 787 系も、<有明> への投入で分割・併合の機会が増えたのに、先頭車が非貫通式なので車掌を別々に乗せないといけないし、もし乗るハコを間違えたら、次の停車駅まで身動きが取れなくなってしまう。これはイマイチだ。
空力的な理由を優先しなければならない新幹線は別だが、在来線の場合は、先頭車を貫通式にして増結時に基本編成と付属編成が遮断されないようにするのは、最低限の基本ではないかと思う。

ちなみに、乗客が多いのに増結ができない (していないだけ?) 北陸本線の <サンダーバード> は、即刻改善を要すると思う。金沢で分離する北陸本線側が 3 両編成というのは、いくら何でも少なすぎるハズだ。グリーン車まで付けろとはいわないが、せめて付属を 5 両にできないものだろうか。基本と付属の境界を貫通式にしたのは立派だが。(その点、多客期だけ大糸線への直通を付属編成から基本編成に振り替える <スーパーあずさ> は、うまいことやっていると思う)


単なる臨機応変の増結というだけでなく、増結に際して旅客サービスに問題が生じないように先頭車を貫通式にしているとか、車両を増結しやすいように小単位で動かせるようにしておくとか、車庫から始発駅に迅速に増結編成を出せるように回送運転台を設けているとか、そういったもろもろの点で、JR 北海道の柔軟性に富んだやり方は、JR グループの中でも随一ではないかと思うのだ。
もちろん、少ないパイを維持していくための知恵なのだといってしまえばそれまでだが、易きに走らない点は見上げたものだと思う。

なお、このレベルに比較的迫っている例として、JR 東海の <ワイドビューひだ> と <ワイドビュー南紀> が挙げられると思う。