Opinion : 金融危機が原因で戦争になる ? (2008/12/15)
 

サブプライム騒動に端を発した金融危機、さらにビッグスリーがヤバそうだとかいう話まで出てきて、どうにも騒々しい今日この頃。それなのに、首相の発言アラ探しや失言探しに血道を上げている日本のマスコミはおめでてーな。という話はともかく。

どこをどうトチ狂ったのか、金融危機に絡んで「景気回復のために戦争を仕掛ける奴がいるんじゃないか」という話まで出ている模様。これにはさすがに驚いた。

すでに何度も書いているように、第二次世界大戦当時ならいざ知らず、国家経済に占める戦争経済の割合が劇的に下がっている昨今では、少なくとも欧米先進諸国で「公共事業としての戦争」を引き起こすなんて考えられない。

というかそもそも、すでにアメリカは戦時下みたいなものだといえなくもない。でも、それだからといって景気が急上昇したわけではないし、中東などで対テロ戦争を何年もやっている最中に金融危機が起きている時点で、「景気回復のために戦争」という論が成り立たないのは明白なのでは ?

第一、そんなカネがあったら、まずはヤバそうな産業の救済に使おうと思うでしょうが、常識的に考えて。


ただ、違った意味で世界情勢がきな臭くなる可能性はあるかも知れない、と思っている今日この頃。どういうことかというと。

金融危機のトバッチリで、当のアメリカのみならず日本もヨーロッパも巻き込まれて大騒ぎ。となると、鬼の居ぬ間にイイ思いをしようとする国家、あるいはその他の勢力が出てくる可能性はあるかも知れないなあ、ということ。つまり、一種の火事場泥棒。

「欧米先進諸国は当分、経済的にヒーヒーいう状態が続くだろうから、この機に乗じて世界の覇権を握ってやれ…」というところまで暴走するかどうかは分からないけれども、周辺地域の覇権を握ってやれ、と考えるぐらいならあり得る。

もっとも、金融危機のトバッチリで石油価格まで暴落してしまったから、オイルマネーにモノをいわせてブイブイいわせていた国は、案外とおとなしくなってしまうかも知れない。でも、そういう国ばかりではないわけで。

ひょっとすると、「だから資本主義はダメだ、やっぱり共産主義が最強」とかいって、調子に乗る共産主義者、あるいは共産主義国家が出現するかも知れないし。と思ったけれど、本来の意味での共産主義国家って、世界にいくつ残ってただろうか (爆)

閑話休題。
とはいうものの、過去の歴史をひもといてみると、ライバル関係にある国が何かの事情でへたばっているように見えたときに調子に乗って戦争を仕掛けて、うまくいった事例ばかりとは限らない。

典型例が、第二次世界大戦におけるイタリア。ドイツが大戦序盤に電撃戦を仕掛けてウハウハだったからといって、その尻馬に乗ってイイ思いをしようとしたら、ギリシアでも北アフリカでもカウンターアタックを喰らってズタボロ。却ってドイツ軍の仕事を増やしてしまった。

もちろん、こんな事例があるからといって、常に同じことになるとは限らない。ただ、本来の国力・軍事力で勝てない相手に対して、弱みにつけ込めば大逆転を実現できるかというと、それは相応の僥倖に恵まれない限りは実現不可能じゃないの ? ということ。

でも、人間というのは往々にして「見たいものしか見ない」「実際に見たものを、自分が見たかったように解釈してしまう」という悪癖がある。特に、周囲をイエスマンに取り囲まれている独裁者はそういう傾向に陥りがち。そうなると、まっとうな判断をしないで暴発する輩が出てきてもおかしくない。

ともあれ、昨今の金融危機が原因で戦争につながる可能性があるとすれば、そういう "重しが外れたせい" になるんじゃなかろうかと。


第二次世界大戦、あるいは朝鮮戦争特需なんかの記憶が強すぎるせいか、未だに「戦争は最大の公共事業」とかいう過去ネタを信じている人がいる。それがひいては「軍産複合体陰謀論」なんかにもつながっていくわけだけれど。

と思ったけれど、実は反対で、己が信奉する軍産複合体陰謀論を世間一般に信じ込ませるために「戦争は最大の公共事業」というフレーズを吹いて回るのかも ? よくある、結論先行・理由後付け型の論法で。

で、こうやって否定的なことを書くとたいてい、「ハリバートンが (以下略)」とかいうお約束のフレーズを連呼する人が出てくるわけだけれど、それって特定企業への利益誘導がどうこうっていう話であって、軍事ケインズとかいうレベルの話じゃありませんから (笑)

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