Opinion : いわゆる青少年のネット依存に関する徒然 (2013/8/12)
 

どこぞで「ネット依存の青少年が××万人」とかいう類のニュースが出て、それを聞いて「なにぃ !?」と吹き上がっているネット住人がいる様子。先日に書いた話とも通じるけれど、自分が利用・活用しているモノが悪くいわれると吹き上がるのは、どこの分野にでもある話。

ただ、「依存」の定義はともかく、青少年のネット利用については、個人的にはなにかしらの制限が必要だと思う。といっても、それは巷でいわれる「有害情報」のせいではない。敷居を下げているのが確かであるにしても、別にネットがなければエロ情報を遮断できるわけじゃないし。

そもそも、アルカイダやヒズボラの宣伝サイトの方がよほど「青少年にとっての有害情報」だと思うけれど。でもまあ、わざわざそんなのを見物に行く日本の青少年が、どれだけいるかは疑問だから、これは措いておくとして。


おっと。もうちょっとマジメに話を展開すると。

対人関係の構築、あるいは人と人との接し方を学習していく経験が足りない状態でネット上のコミュニケーションに放り込まれると、結果としてコミュニケーション ツールとして利用する部分で問題が多くなるのでは。

実際、中学生や高校生ぐらいの年齢で、ネットがらみで何かトラブルや事件が起きる事案の多くは、コミュニケーションがらみのサービスが舞台だったり、ネット上でのコミュニケーションが原因だったりしないだろうか。

回線の向こうにいるのが生身の人間であるにしても、ネット上でのコミュニケーションには、リアルのコミュニケーションとは勝手が違う部分がある。ことに昔からよくいわれるのは、同じような文面であっても、ネット上でのやりとりの方が「きつく」受け止められて喧嘩の原因になりやすいというやつ。

それは、いわゆるネットバトルの事例を見れば一目瞭然だし、喧嘩が収まりにくい一因でもありそう。それに、顔を突き合わせてライブで話していたらとらないような態度、あるいは言葉遣いを、ネット上だと平気でやってしまう人もいる。実際、ライブで会うとフツーの人なのに、ネット上ではむやみに過激、あるいは攻撃的な言動をとる人がいる。

しかもネットという場所は、右も左も上も下も (ん ?) 入り乱れた、魑魅魍魎が跳梁跋扈する言論空間でもある。そうした中から、自分と波長の合う… というより、自分が見たい・聞きたいと思っている耳当たりのいい話ばかりを聞かせてくれる人も、それとは反対の人も、探せば見つかる。

前者であれば「ぬるま湯」の中に身を置いて、自己承認欲求をお手軽に満たしてくれる。そうなってくると、もうオフライン状態に耐えられず、常にオンライン状態で「仲間内のぬるま湯コミュニケーション」に身を置いていないと安心できない状態に陥りそう。それの派生形として、「自分の評判が気になって気になって仕方ない」状態というのもありそう。

一方、後者はというと、前者の反動として (?)「気に入らない意見の存在そのものが認められない」という状態になって、喧嘩を売りに行く人が出てきそう。それはそれで、本当に勝つにしろ一方的に勝利宣言するにしろ、勝った気になることは可能。そして、それを「意見の合うお仲間」がフォローしてくれればバッチリである (何が ?)

問題は、そこで話の合う者同士、意見の合う者同士だけが内向きに集まってしまい、その外側の、意見を意にする別の集団との間でフリクションを起こすこと。もっとも、フリクションと書くと品の良すぎる表現で、要するに「不毛のバトル」である。リアルの人付き合いと比べると、ネット上の方がエスカレートしやすいのは否めない事実。

情報リテラシーという見地からすると、「見たい話、聞きたい話」だけ集めてつまみ食いしてばかりいると、物事を多面的に眺める能力が阻害されないだろうか。これはリアルでも同じ問題があるのだけれど、都合のいい情報・発言のつまみ食いは、多分、ネットの方がやりやすい。

そんなことばかりやってたら、リアルの人間関係を構築する能力が阻害されないだろうか、と。そんな漠然とした不安がある。それで、「コミュニケーション ツールとしての部分で、ネット利用を規制した方がいいんじゃないの」という話になった次第。

もっとも、大の大人でも同じような罠にはまっている人はいるので、これは青少年に限った問題ではないのだけれど。


それと、「内向き」という話に関連して「内輪受け」の問題。最近、コンビニや飲食店のバイトが「不適切な」写真をアップしては騒ぎを起こしているけれども、これなんか、「気の合う仲間同士でのウケ狙い」の度が過ぎてしまい、自分が投稿している話が全世界から見えるんだということへの自覚が足りないのが、根本的な問題なのでは。

でも、自覚は足りないのに実際には誰でも見えるわけだから、いったんその手の「悪さ」の存在が知れると、たちまち大騒ぎになる。だいたい昔から、「炎上」事案のかなりのものは、内輪での悪さ自慢が原因だったのだから、誰も彼も学習してないというか、なんというか。

ともかく、人間が成長途上の段階でそういう火事場に放り込まれたら、大人以上に悪影響が多いんじゃないか。そんなことを思った次第。

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