Opinion : やりたいようにやればいい (2017/8/28)
 

しばらく前に「撮り鉄業界の窮屈さ」について書いた。実は他にも似たような話はあるようで、模型業界でも「考証がおかしい」と物言いをつける人がいるんだそうだ。やれやれである。

これが、博物館の展示品だったら話は分かる。それは時代考証をきちんとやらないといけない。でも、個人が自分の楽しみとして、趣味で作っている模型に難癖をつけるのは筋が違う。

個人の楽しみだよ、個人の楽しみ。自分が満足できればいいんだよ。外野からゴチャゴチャ口を出すことじゃない。本人がそこで壁にぶつかってたり、悩んでいたりする場合には、助言もありかも知れない。でも、そうでなければ外野は黙ってたら ?

自分がぶきっちょさんで苦労したから書いてしまうけど、模型って不慣れな頃は、キチンと組み上げるだけでひと騒動。それを突破しただけでも、ちょっとした達成感を味わえる。なのに、そういうフェーズで出鼻をくじくようなことをしてどうする。

そこで挫折したら、未来のお仲間が一人減ることになる。すると、たとえばプラモ業界が将来の顧客を失うことになる。そんな「業界のため」なんて大所高所から振りかぶらないまでも、同好の士が増える方向に持って行く方がいいじゃないの。


先月、レインボーブリッジにカナダ艦の出航を撮りに行ったら、週末ということもあって「えらい人出」で、「カナダ海軍って、こんなに人気あったんか」と驚いた。

無論、人によってそれぞれ「見どころ」は違うだろうし、「どんな写真を撮りたい」という目的だって違うはず。でも、どれがえらいとか、あるいは間違ってるとかいう話じゃない。

自分の場合、橋の上から兵装類 (特に電測兵装) の写真をバリバリ撮りまくっていた。そういうのが、後で仕事の役に立つ。こんなのが橋の上に陣取ってると、中の人は頭痛が痛くなるかもしれないけど。

被写体が何であれ、自分の場合には「アート」な写真は苦手としているので、そういうのがうまい人を見るとスゴイと思う。そういう作例を見て、「どうやったら撮れるだろう」と考えるのは、引き出しを増やす役に立つ。

でも、そもそも自分のベクトルは「説明的な写真」の方を向いている。どんなにきれいな写真、素敵な写真でも、説明に使えないのではアカンと思っている。そういう立ち位置なのである。

それで何をいいたいのかというと、中国が本気で「日中友好」を考えているのなら、晴海に 052D か 055 を派遣して一般公開してみろと。そしたら、レインボーブリッジの上から電測兵装類を中心として写真を撮りまくって差し上げるから (ぉ
そういえば、シンガポールで狙っていたのに艦艇公開に出てこなかった、オーストラリア海軍の ANZAC フリゲート ASMD 改修艦。あれが今後の宿題だなぁ。SEAFAR と SEAMOUNT、まだ生で見たことがないのだ (←そこか)

おっと。

マインド セットというか、立ち位置の違いが出るのは、艦艇写真でも飛行機写真でも模型でも何でも同じ。それを考慮に入れないで、特定の立ち位置に基づいた価値観でぶっ叩いて、マウンティングするのがおかしい。

よくよく考えれば、書籍や雑誌の記事だって、媒体と想定読者層に応じて書き方や内容は変えている。それだって同じことで、立ち位置が変わればアウトプットは変わる。逆に、想定読者層が違うのに同じ調子で書くのは、違法ではないが不適切。

そこで、たとえば「一般向け」の媒体なのに「内容が浅い」とかなんとか物言いをつけるのは、いかがなものかと。専門誌の記事で内容が浅いのなら、それは物言いがついてしかるべきかもしれないけれど。


過度に周囲の視線を意識してしまうという…では、最近、何かと話題の「インスタ映え」も、どうかと思う。インスタに限らず「SNS 受け」と言い換えた方が適切だろうけれど。

「いいねをたくさんもらえるか」よりも、「自分が自分の価値観・立ち位置に基づいて何を記録・表現・発信したいのか」の方が大事なのではないかなあ、筋論としては。

実のところ、「どれだけ SNS 受けするかなんて関係ない。自分がやりたいようにやるのだ。いわれなき物言いはスルーすればよろしい」と開き直るとずいぶん気が楽になるのだけど、いざ実行に移すとなると難しいかもなぁ。

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