Opinion : 粗雑な議論 (2018/2/19)
 

「私的 Twitter 三原則」により、Twitter では基本的に議論はやらないことにしている。(たまに、降りかかってきた火の粉を払うために、仕方なくやっちゃうことがあるけど)

だいたい、140 文字で起承転結・論旨展開をちゃんとやるのは無理な相談だし、そうでなくても言葉尻を掴まえた揚げ足取り大会になりがちなのがネットバトルのお約束。昔は若気の至りでやっちゃったけれども、今はもうね。

そんなエナジーがあったら、仕事や趣味のために使う方が建設的である。


「言葉尻を掴まえた揚げ足取り大会」と書いたけれども。最近になって見かけた事例だと、定量的な議論というか、ちゃんと数字を出した議論ができていないなあ、と思えるものがあった。「超音速対艦ミサイル vs 亜音速シースキマー」とか「攻撃ヘリの有用性」とか。

前者の場合、要は探知可能距離と飛翔速度とリアクションタイムの問題。なにもオペレーションズ リサーチをちゃんとやれとか、レーダー方程式をこねくり回せとかいう、大仰な話にはならずに済む。

レーダーのアンテナ設置高と探知目標の飛翔高度が分かれば探知可能距離は出るし、距離と飛翔速度が出れば着弾までの時間だって出る。そんな難しい計算式ではないし、Excel でちょいちょいと数式を入れれば数字は揃う。

実際のところ、レーダー反射断面積 (RCS : Radar Cross Section) も変数のひとつではあるのだが、どのみち、ミサイルごとの RCS の数字なんて公表されちゃいないのだから使えない。

厳密にいえば、レーダーの送信機出力とかアンテナの利得とかいう話も出てくるけれど、対艦ミサイル、なかんずくシースキマー相手の防空なら,問題になる距離は数十 km。それなら、電波が届く範囲内なら探知可能とみなして扱っても、大した問題はないんじゃないか。

その簡単な計算式を作るだけで「数字に立脚した話」ができるのに、それをやらない。それでは議論にならないし、それこそ揚げ足の取り合いに終始してしまう。

もっとも、大半の時間は手元に PC がある自分の場合、ひょいと計算機代わりに Excel を引っ張り出せる。上で書いた探知可能距離の計算は仕事でときどき使うから、計算表が常備してある。

でも、手元にスマホしかないと、いちいち計算表を作る手間をかけたくなくなるのかも知れない。それならそれで「数字・数式に立脚しないで揚げ足取りばかりの議論」をやっていても不毛だとは思わないのかなぁと。

政治とか人間心理が絡む問題だったら、それは数式にはしづらいだろうと思う。でも、数式にしようと思えばさほどの手間をかけずに実現できるのに、それをやらないのでは「粗雑な議論」といわれても仕方ないんじゃないかしらん。


と書いたけれど、ネットバトルって実のところ、相手を言い負かして勝つことが目的で、「真実の追究」が目的ではないから (経験者は語る)。それなら、いちいち数式を作ってロジックを組み立てる必要なんてないのかも知れない。

バトルじゃなくて叩きでも同じで、要は周囲の同調者と「ねー」「ねー」と言い合える共通基盤があればいい。それなら数式をせっせと作る必然性は薄い。

どちらにしても、都合のいい言説を言ったり書いたりしているのを見つけて、引っ張ってくれば用は足りる。そしてたいていの場合、上下左右のいずれを問わず「都合のいい言説」というのは存在するもの。ああ不毛。

叩きなんかやってる暇があったら、高知に鰹のタタキを食べに行こうよ。

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