Opinion : 路線バスの敷居の高さについて考えてみた (2018/7/2)
 

なんとなく Twitter でぼやいて みたら、意外と反響があったので (当社比)、今回はそれをお題にしてみた。

普段、「徒歩」「鉄道」「クルマ」で用が足りるものだから、路線バスに乗る機会は多くない。日常的に利用していれば話は違うのだろうけれど、そうでないと、そもそも「どこにどういう系統があるのかが分からない」。

自分が住んでいる場所の近隣でもそれだから、他所の土地に行けば尚更。だから、長崎で「はて、三菱の造船所に行くにはどうすればいいか」と考え込んでしまい、あれこれ検索しまくる仕儀となった。

それでちゃんと結果が出たからいいようなものの、そうでなければタクシーで行っているところだった。(商売道具の荷物があるので、その方が楽ではあったろうけど)


そもそも、他所の土地に行くと、路線バスというのは敷居が高い。なぜかといえば、「A 地点から B 地点に行きたい」という自分のニーズと、提供されている情報がマッチしていないから。

どこのバス会社でも、路線図は作っている。しかし、それは系統を図式化したものだから、頭の中で地図を思い描いたときに、それと路線図がピタリとマッチしない。よって、路線図だけでは目的地にたどり着けない。

例外は、発地や着地と明確に結びつけられるバス停が存在する場合。「○○駅→○○空港」みたいなのが典型例。

つまり、路線バスを利用するには、「いまいる場所の最寄りのバス停」と「乗るべき系統」と「目的地最寄りのバス停」が分かっている必要がある。この三要素が簡単に揃わないから、敷居が高くなる。

しかも、街によっては駅とバスターミナルが離れていて、結節点になってないことがある。鹿児島空港から志布志までバスに乗ったら、志布志駅から数百メートル離れた場所で降ろされたのは典型例。

そこまで離れていなかったけど、枕崎も似たようなものだった。もっとも、駅の前まで入れる道路がないから仕方ないという事情はある。志布志はそうじゃないんだから弁解の余地なし。いや、もちろんなにかしらの事情はあるのだろうけれど。

自分みたいに地図をちゃんと読める人間なら、地図の上に路線図を重ねてくれれば問題解決である。しかし、系統が多くなると収拾がつかなくなるのは自明の理。都心の地図に、そこを走っている都バスの全系統を重ねたらどうなるか、なんて考えただけで頭痛がする。

この敷居の高さをどう解決するか。昔は使えなかった手だけれど、いまならオンライン地図がいろいろあるから、そこで発地と着地を指定する。それによって、それぞれの最寄りのバス停と、両者を結ぶ系統を検索してくれる。これで、だいぶ楽になる。

ただ、事業者も系統も多く、しかもバス停の数といったら鉄道の駅の比ではないから、データ量が多すぎる。最初の入力も、その後のメンテナンスも、検索も、あまり楽ではなさそう。

それに、世の中、地図が読める人ばかりとは限らない。画面にドカンと地図を出しても「私は誰、ここはどこ ?」となることだってあるだろうし。スマートフォンで地図を出せば、GPS で現在位置を調べられるけれど。

第一、なんでも ICT 「だけ」で解決しようとすると、必ずそこからこぼれてしまう人は出る。

ひとつ考えたのは、略図形式の路線図は路線図で維持するとして、別途、全体像が分かるようなものが欲しい。紙の地図にオーバーレイする形で、どの道にバス路線が通じているか (個別の系統ごとに分ける必要はない)。それと、どの系統がどの方面に通じているか (途中のバス停は要らない。方面と系統番号と行き先だけ分かればいい)。

それで大まかな当たりをつけて、細かい系統や個別のバス停については系統図で調べる。これで、ちょっとマシになるだろうか ?


鉄道でこういう問題が起こりにくいのは、道ばたにポツンとポールが立っているだけのバス停と違って、駅という大きな施設があること。それと、線路という不動産があって、どこを走っているかが明確に分かることが効いている、というのが自分の仮説。

どうやったら敷居を下げられるかについては、アイデアがいろいろ出てくるだろうけれど、何にしても実現には手間と費用がかかる。バス会社とて経営が楽なところなんて滅多にないのだから、その費用を出すのが難しいというのはありそうな話。

とはいえ、特定の事業者だけで頑張るのでなく、業界全体で利用を促進するぐらいのことをしていかないと、路線バス業界そのものが危うくなるのではなかろうか。

だから正直いって、価格競争を仕掛けて業界の中で食い合いをやってる場合ではないハズなんである。業界全体で利便性を高める工夫をしていかないと、そのうち総倒れになるんじゃないだろうか。

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