Opinion : 変化に抗うことしかできない人 (2018/10/22)
 

いま、手元にはラップトップが 2 台、デスクトップ PC が 1 台、タブレット PC が 1 台ある。このうち Windows 10 が稼働しているのはラップトップのうち 1 台とタブレットで、あとの 2 台は Windows 7。

いずれはすべて Windows 10 に揃えることになるだろうけど、いきなり総入れ替えをすれば、使い勝手の違い… はまあいいとして、これまで使用していたソフトウェアが使えなくなる、なんて可能性もある。

だから今回に限らず、オペレーティング システムの更新では最初に 1 台の「人身御供」を用意する。そこで検証と運用評価と戦力化の作業をやってから、他に拡大するのが通例。仕事の道具が使えなくなると影響が甚大なので、こうやっている。

以前のように PC 自体が仕事の対象だったら、トラブるのもネタのうち、といえただろうけれど、今は状況が違うから。


そういえば、築地から豊洲に移転した後で「築地と同じ要領でやったらトラブった」系の話がニュース種になっている場面を見かける。どこまでが本気で、どこまでが「移転反対のためのネタ」なのか知らないけど。

ただ、この手の話を聞いて思ったのは、「あなた達、自宅の引っ越しをやって間取りも設備も什器も変わったときに、『前に住んでいた家と同じようにやったら壊れた』って家主や施工会社や管理会社に文句いうの ?」ということ。

身近な話題だと、クルマの乗り換えだって同じ。車種が変われば勝手が変わる部分は当然ながら出てくるし、カーナビを初めとして搭載機器だって違う。そこで「以前と同じ」に固執しすぎると、却ってロスが出る。

もっとも、豊洲の件についていえば「今は豊洲移転を叩く方が空気である」というマスコミの状況があり、それに移転反対派が乗っかっているだけ、というのが真相かも知れないけれど。

これに限らず、場所や道具が変わればやり方を変えなければならない場面は必ず出てくる。そこで変化に抗うか、変化を乗りこなすか。いきなりガラッと変えれば余計な血が流れるから、漸進的に変えていくのが無難か。

冒頭で書いた自宅の PC の話についていえば、基本的には「変化を乗りこなそうとする」がポリシー。UI が変わった部分は自分が馴染むか、カスタマイズするかで対処する。Windows 10 の場合、だいたい落としどころはつかめてきているので、移行に対する不安はなくなった。(もともと、Windows 8 よりはマシになってるし)

使うソフトウェアを変えれば、それを手の内に入れるまでに相応の手間と時間がかかるから、これは変えずに済むならその方がいい。

それで、たとえば Windows 10 では動かないはずの ZoomBrowser EX を動かしてしまった、なんてことが起きている。いや、そんな小難しい細工をしたわけではなくて、単に互換性の設定をいじくっただけだけど。

Microsoft Office みたいに、「しょうがねえなあ」と文句をいいつつ、新バージョンに代えた上で徐々に馴染もうとしている、なんていう事例もある。どのみち、付いている機能の一割も使っちゃいない。仕事に関わりのある機能だけモノにすれば、当座は困らない。

ちなみに、「乗りこなそうとジタバタしたけど、結局諦めた」のが飛行機撮りにおけるマイクロフォーサーズ機の試用。無理に「同じ使い勝手」は求めないけど、「同等の能力」は求めて挫折した。


この辺の話って、「これまで馴染んできた場所や状況やメソッドが (通用しなくなった | 通用しなくなったんじゃないかと思えた | 通用しなくなりそうだ) というときに、どう対応していくか」という話に収斂していくのだと思う。

「国民的行事だったはずの○○の参加者が減っている」とか「国民的人気テレビ番組の○○を見る人が減っている」とかいう現象を嘆く声も似たところがあって、自分らのやり方が間違ってる or 外れてきているんじゃないか、という考えがない。「参加しない奴、見ない奴が間違ってる」という方向では、ますますソッポを向かれるだろうに。

これまで馴染んできた手法が通用しなくなってきて、それで立ちすくんでしまっているのではないか、と思えてきているのが、いわゆる「F-2 後継機」の一件。ここでは「国産化を推進するための論法」が通用しなくなってきているんじゃないの、と見なしているわけだけど、この件はもうしばらくウォッチしてみないと。

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