Opinion : これからどうなる、華為外し & ZTE 外し (2018/12/10)
 

ふと、だいぶ前に淀秋の店頭でレノボが「レノボはアメリカに本社を置くグローバル企業です」といって「出自隠し」をやっていたのを思い出した。最近では、もうやっていないけれど。

華為がそういうマネをせず、堂々と自社のでかい販売コーナーを確保しているのは、それだけ中国企業が自信を身につけたということか。まさか「中部電力の関連企業である」と勘違いされる効果を狙ったわけでもあるまいし (ぉ


ただ、日米豪などの政府機関が公然と「華為外し」「ZTE 外し」みたいな動きに出てくるとなると、当事者としても何らかのアクションをとらなければならない、と考えるであろうことは容易に想像がつく。

すでに中国政府が「強烈な不満」を表明しているそうだけれど、それだけで問題が解決するとも思えない。だいたい、華為や ZTE が怪しいという話は、昨今になって急に降って湧いた話ではない。

これまでは「知ってる人は知っている」的な話だったにしても、なにしろ 5 年以上も前からくすぶっていた話である。それが一挙に顕在化しただけなのだ。そして日本にも火の手が飛んできたので騒ぎになった、と。そういう図式。

では、この後はどうなるか。

IT 関連の Web メディアでは、華為の記事体広告記事を頻繁に見かける。それをさらに推進して、宣伝戦でプッシュをかける… 一般消費者向けのビジネスであれば、それである程度の成果は収められると思われる。

しかし、ブランドそのものに対する風評が広まってくれば、違う手を使わざるを得なくなる、あるいは違う手を併用したくなるかもしれない。

たとえば、本家とは無関係に見える別ブランドを立ち上げるとか、日本あるいは欧米のメーカーを買収、あるいは提携してフロントに使うとか。そういえば、イラン向けの不正取引疑惑では、「無関係」と称する別会社を香港に設立してトンネルに使っていたと報じられている。

ちなみに最近、CISTEC ジャーナルの最新号で、中国企業による欧米の航空宇宙・防衛関連メーカー買収について書いた。そこで指摘したのは「経営が傾くと買収の標的にされてヤバい」という話。

航空宇宙・防衛関連メーカーに限らず、他の業界でも同じことがいえる。健全経営、絶好調のところに買収を仕掛けるのは、難しかったり高くついたりする。しかし、経営が傾いてスポンサー探しに奔走しているような会社であれば、安く買い叩ける可能性がある。そして買い叩いた会社をどう活用するか、という話になる。


それはそれとして、今後、この件がどう動くか。

華為や ZTE が、特に Web メディア各社に対して、「弊社に対してネガティブな内容の記事を載せるようなら広告を引き上げる」といいだす手も考えられなくはない。でも、常識的に考えれば悪手である。常識的に考えれば、だけど。

むしろ、「華為製品がいかに素晴らしいか」「華為外しがいかに日本にとっての損になるか」「華為は無罪であり、日米政府は誤った決定をしている」という類の記事が、特に Web メディアや SNS を通じて出稿・拡散される。そして「いいね」がドバドバつく。そんな事態の方が、ありそうな話ではある。

もしも、その手の記事がいろいろ出回るようなことになったら、誰がどんな場でどんな論調を展開しているか、なんてことを定点観測してみるのは、ちょいと面白い課題になるかもしれない。

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