Opinion : 有名税 ? (2019/6/17)
 

個人的な定義で「普通に街を歩いていられるうちは、有名人とはいわない」ということになっている。そして実際、自分は普通に街を歩いていられるから、有名人にはカテゴライズされないと思っている。

仕事をしているフィールドがフィールドだから、「知ってる人は知っている」レベルであろうし、それで十分。ひっそりと書きたいものを書いて、やりたいことをやっていられるのが、いちばん平和でよろしい。


ところが、その「知ってる人は知っている」業界に絡む話題になると、そうもいっていられない模様。

以前にはそんなことはなかったのだろうけれど、軍事業界でのお仕事の蓄積が進んできたせいなのか何なのか、自分がフェイクニュースで使われる場面が出てくるようになってしまった (なんてこった)。

いうまでもなく、以前の「環球時報」の一件や、今回の「リテラ」の一件。後者の場合、たまたま「F-35 欠陥機説へのカウンター」を真正面からぶちかますような記事を書いたのが目にとまった、というのが真相であろうと推察されるけど。

そして、それに真正面から反論できないもんだから、異なる二つの話題を強引につなぎ合わせて、もっともらしいストーリーに仕立て上げるというフェイクニュースが出来上がった。

まともな脳味噌の持ち主ならば、OBOGS (On-Board Oxygen Generation System) の問題と空間識失調の問題はまるで別個のものだと理解できるけれど、知らなきゃ簡単に騙される。OBOGS にしろ空間識失調にしろ、AX-5 の事故が起きるまで、一般に知られた単語じゃなかったのだし。

そして、テキトーなことを書いて扇動して、詳しくない人を騙すには、それっぽい肩書きを持っている人の名前を引っ張り出すのが、いちばんお手軽。新聞・テレビで、何かあるとすぐに「大学教授」にコメントをとりに行くのも、「一般向けに説得力のありそうな肩書き」だからであろうし。

ただ、これを自分で書くのは自爆感があるけれど、「○○評論家」「○○アナリスト」「○○ジャーナリスト」の類は、名刺に書けばそれだけで名乗れるのだよなぁ。「○○ジャーナリスト」と名乗って、自分が偉くなったような気分に陥ってるように見受けられる人、ときどきいるけど。

「フェイクニュースに箔をつける」という観点からすると、誰ぁれも存在を知らないような人を引っ張り出しても効力がない。かといって、超大物クラスの人を引っ張り出すと、もめたときに始末が悪い。

だから両者の中間ぐらい、「そこそこ知られてるレベル」の人をダシに使うのが、いちばん都合がいいのかも知れない。環球時報やリテラがそこまで考えてるかどうかは知らんけど。


ただ、この手の事案が相次ぐと、物書きとしての信頼性が疑われる事態にもなりかねないので、何か考えておかなければならないかも知れないなぁ、とは思っている。

自分がスットコなことを書いて信頼性を落とすのは自業自得だけど、フェイクニュースを真に受けた人が「ヤツは信頼できない」と思ってしまうのでは、ある種の業務妨害である。

弁護士の知り合いがいないわけではないから、相談してみるのも手かもね。こういうのは専門家に訊くに限る。

P.S.
そこで思い出したけど、しばらく前に携帯電話の SMS で「コンテンツ利用料を支払わないと法的手続きに移行する」というメッセージが来たっきり、法的手続きが始まらないというトンチキな案件があったっけか。おーい、法的手続きマダー ?

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