Opinion : 変化を乗りこなそう (2019/6/24)
 

たまたま、目下進行中の仕事の関係で、F-35 に対するネガティブな意見というものを、いろいろ見たり聞いたりしている。そして観察・分類してみると、大きく分けてふたつのパターンに分類できそう。

ひとつはいわゆる「アベ政治を許さない」型の人。要するに、機体の能力とかどうとかいう話はどうでも良くて、「安倍政権のやることは箸が転がっても反対」。だから、反対論に使えそうな材料があると、途端に食いついてくる。

その一例が「墜落事故」であるわけだけれど。なにせ、何に反対するにも「高い」「危ない」「欠陥品」といえば済むと思っているから、往々にして古い情報に釣られたり、流れてきた報道の解釈を誤ったり、意図的に歪曲したりする。

そこに、先週に書いた「リテラ騒動」みたいなのがいて燃料を投下してくれると、内容の正誤なんてお構いなしに食いついてしまう。いや、それって後で、自分で墓穴を掘って、そこに落ちるだけだと思うよ…

そもそも、F-35A の導入を決めたときって民主党政権だったのだけど。だから「トランプに忖度して買い増した」なんて方向に戦域をずらそうとするのか ?


もうひとつが、「これまで慣れ親しんできた『戦闘機』の枠からはみ出しているから気に入らん」という人。過去にも何度か書いているけれど、いわゆる第四世代機にくっつく形で定着した「戦闘機とはかくあるべし」という枠組みへのこだわり。

するとどうしても、推力重量比ガー、最高速度ガー、荷重制限値ガー、維持旋回ガー、とかいう類の話ばかり繰り返すことになる。ハードウェア偏重といいかえてもいい。優れた性能を持つハードウェアができれば「これで勝てる」というやつ。

実のところ、他の分野でもよくある話じゃなかろうか。「これまで慣れ親しんできた勝利の公式から外れている」ということで、ついつい拒絶反応を起こしてしまうケースって。製品やサービスを作る場面でも、事業のあり方を考える場面でも。

そういう話を見聞きする度に、「ああ、これではゲームチェンジャーという考え方は出てこないだろうなあ」と思ってしまう。

戦闘機の場合、ことに F-15 があまりにも成功してしまったものだから、それがある種の呪縛になっている一面もあるのだろうけれど。でもねえ、それって「日本海海戦の夢よもう一度」と何が違うんだろう。

ゲームチェンジャーを本気でモノにしようというなら、まず既存のゲームのやり方という枠組みを壊すところから考えないとダメよ ? いまのゲームの枠組み、ゲームのルールに乗っかって、PLAAF と真正面からガチンコ勝負できると思うの ?

あと、「他所ではこんなゲームチェンジャーを手掛けている」という話が伝わってきたときに、「そりゃいかん、うちも後を追わねば」とやっているようでは、金輪際ゲームチェンジなんてできない。という話は以前にも書いたっけか ?

そういうマインド セットの持ち主は往々にして、そのとき、そのときの流行り物やバズワードに釣られて、後で痛い目に遭うのがオチじゃなかろうか。


ただしこれ、「ゲームのルールを変えるために新しい道具を導入する または開発する」だけでなく、「新しい道具が出てきたので、それに合わせてゲームのルールを変える」という成り行きもあり得そう。どっちが正しいとか間違ってるとかいうのではなくて、どちらもあり得る。

「新しい道具が出てきたので、それに合わせてゲームのルールを変える」と書くと大袈裟だけれど、うちの仕事用メイン PC が Windows 7 から Windows 10 に変わったことで、それに近い現象は起きたように思える。

そりゃまあ、慣れ親しんだ Windows 7 のまま継続できれば楽は楽だけれども、それはいろいろな意味でできない相談。だからといって、いきなりガラッと変えると、(物理的な意味ではなく論理的な意味で) 血が流れる。

だから、いかにして仕事を止めずに円滑に移行するか、というところで頭を使った。それが本題ではないから、何をどうやったかをいちいち書くことはしないけれど、リスクを抑えつつ漸進的に切替を図ってきた、とはいえる。

結局のところ、何かが変わろうとしている、あるいは変えなければならないときに、変化を恐れて慣れ親しんだ従来のやり方にこだわることしかできないと、後でもっと酷い目に遭うのであろうなぁ。

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