Opinion : 予防・抑止は本番より安い (2020/7/6)
 

うちのデータ保全態勢は、たぶん「おかしなレベル」。中核となるデスクトップ PC に加えてラップトップが 2 台あり、いずれも週に二回ずつ、システム イメージ バックアップを発令している。

しかも 3 台のうち 2 台は、それぞれ別々の HDD に。残る 1 台は内蔵もバックアップ先も SSD なので、故障のリスクは低いと踏んで、バックアップ先は同一 SSD が 1 台のみ。

その他のあれやこれやも含めると、「過去の仕事のデータや、ダウンロードしてきた資料類、自分の Web サイトのソースになる XML データ」は九重化、写真のデータは RAW が六重化、RAW 以外が八重化だか九重化だか。


具体的な数字はともかくとして。「自宅が倒壊または全焼しない限り、データは残る」という按配。手順に工夫をしているので手間はたいしたことないけれど、デバイスにかかる費用はそれなりに。

でも、デバイスは買い直せるけれど、データは買い直せない。だからデータ保全に手間と費用をかける方が、トータルでは安い。

あと、旅先で原稿を書いたときには、旅先で更新がかかった分のファイルだけ、OneDrive にアップロードしておく。こうすれば、どこからでも取り出せるし、バックアップを一緒に持ち歩くよりも生残性は高いはず。

昔は自宅 LAN に VPN 接続して自宅の NAS に放り込んでいたけれど、ネット環境が変わって VPN 接続ができなくなったので、今の方法に変えた。

もちろん、オンライン ストレージに全部のデータを放り上げておけば、さらにデータ保全の強化になるのだろうけれど。しかし、何 TB もあるデータを放り込んでおける場所の問題と、アップロード/ダウンロードにかかる時間、そしてデータ同期を確実にやる方法という問題があるので、これは諦めた。

実のところ、オンライン サービスをどこまで信用できるんだ、という疑念を持っている事情も背景にある (未だに引きずっている Google Reader の一件)。だから、オンライン サービスの利用は一時的なものに限定してる。

仕事用のカメラは、デュアルスロット装備のモデルを持ち出すことが大半。これだって、カメラ自体のコスト、あるいは大きく、重い機材を持ち歩くコストはかかるけれど、トラブルやうっかり削除によるデータロスのことを考えれば、ねぇ。

とりあえず、身近なところから話を始めてみたけれど。たぶん、「予防や抑止は本番より安い」は、たいていの場合にいえることだと思う。データ保全に限らず、各種の安全対策しかり、もちろん、安全保障の分野も同じ。

たまたま最近、COVID-19 のせいで自宅にいる時間が増えたので、これまで手を抜いていたところの掃除をいろいろやった。これだって、汚れてから手間をかけてきれいにするよりも、汚れにくくするために手間とコストをかける方が、トータルでは安上がりなはず。

だいたい、安全対策でも安全保障の問題でも何でも、「そんなところに費用をかけるのは無駄無駄無駄 !」とわめいている人ほど、いざトラブルが起きたときには「なんでちゃんと対策してなかったの !」とイチャモンをつけるのがオチじゃなかろうか。


データのバックアップでも、各種の保険でも、はたまた国防の手段でも、もちろん「抜かずの剣」で済むなら、その方がいいに決まっている。ただ、抜かずの剣を維持し続けるという、意外な問題はある。

「出番がないから、ちょっとぐらいサボっても」と思っていると、肝心のときにデータの複製がなかったり、術力が落ちていて役に立たなかったり、なんてことになりかねない。抜かずに済む剣を、平素からきちんと磨き続けるための動機付けは難しい課題。

これが個人レベルのデータ保全だったら、プロシージャのシンプル化と手作業の排除によって手間を減らし、「バックアップはめんどくせー」という意識を持たずに済ませることができる。

でも、軍事組織において「出番がないに越したことはないもの」を用意して、かつそれを磨き続けるのは、モチベーション維持の観点からいっても、コストの観点からいっても、努力が要りそう。

なんてことを、Aegis Ashore がらみのあれやこれやを見ながら思っていた。これが最善の解決策だと思っていたけれど、技術的な話とは違うところのあれやこれやでぶち壊しにしてしまったのが悔やまれる。(ブースターの件は、技術的な話に見えるけれど、そもそも無理難題を押しつけたのが良くない)

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