Opinion : 北京の民間企業報道事業禁止案に関する徒然 (2021/10/11)
 

中国、民間企業の報道事業禁止案を公表 統制強める (日経)

以下、引用。

中国政府は 8 日、民間企業が報道事業を手がけることを禁止する案を公表した。民間企業が新聞やテレビ、ネットニュースを運営する組織に出資して経営することを認めず、実況中継なども許さない。

盛 り 上 が っ て ま い り ま し た。

なお、これは市場参入制限対象の分野を定める「ネガティブ リスト」の案だそうなので、他の分野でもいろいろ制約が増えることになりそうではある。


これってつまりは、「国力を伸長するために大目に見ていた (と思われる)、あれやこれやを元に戻して、共産党による統制を徹底させる。人民に対しては思想的遮断機を強化する」という話だと解釈できる。

もともと、ネットにおける規制や監視はやっていたわけだから、それをさらに深度化させるということで、特段の驚きはないなというのが個人的な感想。「ああ、やっぱりきたか」とは思ったけれど。

ただ、国内で思想統制をやっても、国外に出た人民が「有害思想」の影響を受けたのでは洒落にならない。だから、そのうち今度は人民の海外渡航についても、制限を強めてくるかもしれないなあとは思った。

それは相手国にとってみれば、観光収入が減るという経済的圧力にもつながるわけだから、北京にとってみれば一石二鳥なんである (以前に、THAAD 配備がらみで韓国がこれをやられたことがあるのは、御存じの通り)。

そういえば、2 年半前にメルボルンの空港に降り立ったとき、中国語の看板がいくつも出ているのを見て「影響力がでかいなあ」と感じたものだけど。昨今の北京とキャンベラの関係からすると、この辺にも何かしらの変動はあるのかしらん。

ともあれ、この思想統制強化の成果が出始めると、それは決して他人事ではなくて、中国国内でビジネスを展開している海外企業にも影響が出るはず。当該企業、あるいは当該企業が本拠地にしている国が、なにか北京の不興を買うようなことをやらかしたときに中国国内で何が起きるか。過去の事例からいっても、容易に想像はつくでしょ ?

つまり、彼の国 (無論、香港を含む) でビジネスをすることに付随するリスクは、この先、増えることはあっても減りゃしないだろうということ。

ただ、問題は「何をしているか」よりも「どういう動機でその挙に出たか」。前々から計画していた既定路線だったのか、それとも、国内向けに思想統制を強化しないとまずいような事情が突発したのか。本丸は思想統制なのか、それとも別の何かなのか。実のところ、問題なのは動機の方だけど、生憎と仮説を並べて推測することしかできない。これは不気味なやつですよほんと。


ところで最後に、再び日経の記事から引用。

海外メディアのニュースの引用やニュース、世論に関わるフォーラムなどを開催してはいけないことも盛り込んだ。

でも、北京の官製メディアが「海外メディアのニュースの引用」と称して、実在しない発言を捏造するのはオーケーなんだ、ふーん (棒)

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