Opinion : 趣味は趣味、現実は現実 (2021/11/29)
 

来年の春に、283 系 (DC の方) が引退する。昨春に運用が半減した時点で、もしかして今春で全部落ちるんじゃないかと慌てたけれど、実際にはもう 1 年の猶予ができたので、その間に乗ったり撮ったり。

デビューして間もない頃から何度も乗っているし、(最近ではいくらか牙を抜かれたとはいえ) 走りっぷりの良さもあり、お気に入りのひとつ。それが、あと数ヶ月でいなくなる。悲しい話であるものの、納得もできる。どんな車両だって、永遠に走り続けられるものではないのだし。

ところが根室本線の線路脇で見ていると、どうも注目度が高いみたいなのは、これも来春で引退が決まっているキハ 40 の方。283 びいきとしては「えー」と思ってしまうのだけれど、まぁそれは価値観の違いということで。

そういえば、しばらく前には小田急 LSE も引退した。若い頃から馴染んできたお気に入りの過去帳入りが進んでいるし、いずれは TEC 500 系もそうなる。ただ、だからといって後継車を敵視するようなことはしないのがポリシー。


283 の場合、今の状況からすれば、維持しきれるクルマじゃないな、とも思う。ただでさえ構造が複雑な振子台車に、さらに操舵機構まで加わっているのだから、台車をバラして検査するのにかかる手間は尋常じゃない。しかも、途中で台車の新造交換までやっている。たぶん、車両側だけでも相当に経費がかかっているし、軌道側の保守まで考えると、さらに経費がかかっている。

それを維持し続けられるんですか、といわれれば否定的にならざるを得ない。それに、北海道は外観が傷んでいても内装はちゃんとメンテナンスしている部類… というものの、やはり古さは感じる。だから 261-1000 へのリプレースには納得している。

ただし、千歳線内での特急の走りっぷりは、乗っていても撮っていても歯がゆさを感じるので、なんとかならんかと思うけれど。

もっとも、自分の場合には仕事を通じて「事業者サイドの視点」も身についているから、「引退も納得できる」との考えに行き着くのかも知れない。純然たる趣味人の視点からだけ見れば、「引退なんて嫌だ」とダダをこねることになりかねない。

まあ、それだからこそ、「私設大本営」呼ばわりされることもあるわけだけどね !

逆にいえば、いくら貨物の撮影が好きだからって「貨物を悪者扱いする原因になっている北海道新幹線など、事故ってしまえ」なんてことをいいだしたら、それは一線を踏み越えているのでは。


さっき「事業者サイドの視点」ということを書いた。よく、「鉄ヲタは鉄道事業者には就職できない」なんてことがいわれるけれど、それは事実に反する。ただし、明らかに「それは無理でしょ」という種類の人もいると思われる。

それはどういうタイプかというと、「個人的な趣味と仕事の境界をつけられない人」じゃないだろうか。それはさすがに仕事を任せられない。「趣味を仕事に活かす」と「趣味と仕事を混同する」の間には、深い断絶がある。

いくら個人的に思い入れがあっても、それが維持困難だったり、サービス改善の妨げになったりしていれば、そこはちゃんと手を打っていかないと駄目。冒頭でキハ 40 の話に触れたけれど、北海道といえども夏は暑い。実際、真夏に乗ったら車内の温度計が 36 度を指していたこともある。

それと比べたら、冷房付きの H100 が、どんだけサービス改善になることか。え、椅子が固い ? もっと椅子が固い車両が首都圏にはゴロゴロしてますが何か。
それに、メンテナンスの面からいっても、明らかに電気式 DC にはアドバンスがある。ちっとはそういう視点からも物事を見てみて欲しい。

クルマ屋の社長だって、クルマが好きで好きでたまらん、という人にやって欲しいし、そうじゃないと顧客に "刺さる" クルマって出て来にくいと思う。飛行機だってそう。飛行機が好き、いい飛行機を作りたい、というパッションが欲しい。大学で航空工学科に進んだけれど、主な飛行機のモデルの違いも分からない… なんてことで、情熱を持って飛行機作りができるもんだろうか。

もちろん、どんな業界においても、「個人的な好みと仕事の区別はちゃんとつけようね」という原則はあるわけだけど。

Contents
HOME
Works
Diary
Defence News
Opinion
About

| 記事一覧に戻る | HOME に戻る |