Opinion : ちょっとしたライブ学習教材 (2022/4/25)
 

先日、日経新聞に「月曜日のたわわ」の広告が載り、それに対して噛みついた人がいた、という話が Twitter 経由で流れてきた。意図的にこの方面の話題を集めているわけではないけれど、流れてきたのでなんとなく知った次第。

「そういうクレームの付け方するんかねえ」というのが正直な感想。ただ、それをいうなら、芸能関連のニュース記事なんかで、女性のタレントさんなんかについて、いちいち、胸の大小が枕詞としてついてくる。あれはどうなのよ。

以前も今も「○カップの△△」といった類の見出しを冠する記事がゾロゾロ流れてくるところからすると、これに噛みついたフェミさんはいないらしい。そっちはいいのか。どういう判断基準で、一方は OK だけど他方は NG という話になるんだろう。部外者からすると、わけわかんないよ。


軍事情報の世界に「仕草」という言葉がある。この言葉の用法を初めて知ったのは、堀栄三氏の本だったような気がする。

軍事の業界では当然ながら、意図や意向をストレートに言葉にするとは限らない。でも、意図や意向を反映した仕草は表に出る。それをどれだけ正確に読み取れるかが問題。と、そういう話なんだろうと理解している。

よくよく考えれば、何も軍事情報の世界に限らず、企業情報を扱う場面でも似たようなもんだった。

では、たとえばいわゆるフェミな人が何かに物言いを付けたとき。物言いを付ける意図が、果たして表に出ている字面通りなのか、それとも公言していない意図が何か別にあるのか。公言していなければ、字面だけ見ていても分からない (当たり前である)。

しかし、「誰が」「何に対して」「どういう内容の」物言いを付けているか。そして、そうやって "火が点いた" 後に、「誰が」「どういう方面で」「どういう動きをするか」。そういう一連の動き (つまり「仕草」である) を丹念にウォッチすることで、公言していない意図が見えてくる。そんなことも、もしかするとあるかも知れない。

動きや対象だけでなく、そこで用いているロジックや言葉の選び方についても、一種の「クセ」というか「傾向」があるかも知れない。それはおそらく、火を点けようとした仕掛け人 (イニシエータ) が誰なのかを示す材料になり得るんじゃないだろうか。

ただし、仕草を初めとする諸材料からなにがしかの意図が見えたとして、その後でそのことをどう利用するか。その判断は難しいところだし、個人レベルでできることには限りがある。だから、ここではそれについて言及することはしない。本題から外れてしまうし。

ただ、具体的なアクション (これも活動家界隈が大好きな言葉ですな) を起こすかどうかはともかく、情報活動に通じるひとつのトレーニングの題材としてみると、なかなか使えるんじゃないかなあと。そんなことを思った次第。


もっとシリアスな題材というと。たとえば、昨今のロシア政府関係者やロシア官製メディア (スプウソニクなど) の言動、あるいは中国の官製メディアや戦狼外交官の発言。この手のやつも、丹念に拾って傾向を分類するのは、トレーニングの題材としてなかなか興味深いやつじゃないだろうか。

手っ取り早い事例でいうと、北京が「強烈な不満」を口にするのがどんなときで、口にしないのがどんなときなのか。先方も仕事で政治や外交をやっている以上、なにがしかの意図や効果を企図しているはず。そのために言葉を選んでいるのだろうと思われる。それであれば、言葉選びの傾向・パターンを掴むことは、その言葉選びのロジックに迫るひとつの手であるかも知れない。

ただし、もしも「何も考えずに言葉を選んでいた」というオチがつくことになると、この話は瓦解するのだけれど。

それに、この手のやつはディスインフォメーションのケーススタディにもなる。先方がどんどんサンプルを提供してくれるのだから、それを利用しない法はない (ぁ

「またフェミが難癖付けてやがる (怒)」などとむかっ腹を立てる気持ちも分かるけれど、怒るばかりでなく、逆に利用してやるのもひとつの向き合い方ではないかしらん。と締めたところで、本日はこの辺で。

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