Opinion : 原因の切り分けができているか、という問題 (2023/2/13)
 

三菱スペースジェットの件。「立ち止まる」宣言や、その後の動向を見ていれば、最後はこういうことになるだろうなという予測は難しくなかったと思う。(以前にも書いたと思うけれど) 初飛行の時点で「型式証明取得までの道のりが大変だろう」という趣旨の指摘はしていたし、それが結果として的中してしまったのは残念至極。

それはともかく、この件をめぐる論調や発言をいろいろ見ていると、「ちょっと待って」と思いたくなる部分もある。


それは何かというと「問題の切り分けができていないのでは」と思える論調や発言があるんじゃないか、という話。「計画中止」という結末だけ見て「○○が悪い」と誰かを悪役にして叩いて終了。その後に「日本の航空機産業ヲワタ」までくっつければテンプレ通りとなる。

一般論として、この手のテキトーな論調を適当に拾い上げてきて「ネット上の反応は○○」といって記事をひとつ作るような安直な仕事は、評価できたもんじゃないと思うし、見る気もしなくなる。自分がやりたいとも思わない。

三菱サイドに何の非も瑕疵もなかったとは思わないけれども、何でもかんでもすべて三菱サイドが悪かったとも思っていない。当事者にコントロールできる領域の話もあれば、当事者にコントロールできない領域の話もある。

たとえば、スコープ クローズの一件。これがどう動くかはアメリカ側の問題で、機体メーカーがどうこうできる話ではないでしょ。COVID-19 で需要が蒸発した一件もしかり。機体メーカーの立場でできることは、こうした事態をコントロールすることではなくて、物事が期待通りに動かなかった場合のリスクヘッジしかない。

といっても、COVID-19 に起因するあれこれは、話のレベルがぶっ飛びすぎていて、リスクヘッジってレベルでは済まなかったとも思える。

当事者にコントロールできない領域で災厄が降ってきた事例といえば。プー 1 号が余計な戦争をおっぱじめたせいで、「ロシア上空を通ってショートカットすれば、ヘルシンキが、アジアからもっとも近いヨーロッパの玄関になる」を売りにしていた AY が典型例かと。

プー 1 号が何をやらかすかなんて、いち民間企業 (それも他国の) であるところの AY にどうこうできる話じゃない。最大の売りが吹っ飛んでしまい、事業戦略に多大な影響が出てしまって、まったく気の毒な話といわざるを得ない。

話が散らかり気味になってしまったけれど。↑で書いたのは「当事者にコントロールできる領域」と「当事者にコントロールできない領域」は切り分けて考えようね、という話。


これに限らず、何かマズいことが起きたときに「原因の切り分け」が求められるのは、どんな分野でも同じじゃないかと。ことに事故の原因究明なんていったら、さまざまな要因が絡み合って発生することが多いのだし、それを解きほぐして切り分けないことには話が始まらない。

もっとも、このことが逆に、記事や論者や発言者を見るときの基準になっている一面もある。原因の切り分けをきちんとやらずに、誰かを悪者と位置付けて罵詈雑言を浴びせて叩くだけなら、そいつはスルー推奨というわけ。

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