Opinion : ほげほげポルノ (2023/10/2)
 

先日、Twitter で (断じて「X」なんて書くものか)「衰退ポルノ」という言葉を使っている投稿を見て、すごく腑に落ちた。「○○はもうダメだ」と連呼するのは、典型的な衰退ポルノであるらしい。

これはたぶん、以前に書いたことがある「厭世的破滅主義」にも通じる話ではないかと思われる。自分が厭世的な気分になってるからといって、周りの人間まで巻き込んで破滅主義にハマらないでもらいたい。

一方には、「もうダメだ」「もうおしまいだ」という方向に持って行きたがる、衰退ポルノにドはまりしている人がいる。そうやって厭世的になるのが当人だけの話に留まるのであれば、「好きにすれば ?」。なんだけれども、その衰退ポルノが周囲の人を巻き込み始めると、そりゃ害悪だろうという話になる。

では、厭世の対極にあるのがポジティブかというと、どうもそういうわけでもない。

たとえば、派手な生活振りを喧伝して自らを「教祖」に祭り上げる Fake Guru とやらがいる。バックに映っているビジネスジェット機などの「派手な暮らしぶりアイテム」は、自前ではなくて借り物、ハッキリいえばでっち上げなのが、"Fake" たる所以なのだそうだ。

世の中、悪知恵が働く人がいるもんだと思うけれども、これはポジティブとは違う。


世に「ほげほげポルノ」はいろいろあれど、プレデター ポルノ (または略してプレッド ポルノ) ならどうか。これは理解できる。軍用 UAV の歴史を追っていると、必ず出てくる必須科目。

もうちょっと掘り下げると「情報飢餓に対する絶妙な回答」となるんだろうか。古来「戦場の霧」という言葉があるぐらいで、現場で実際に何が起きているか、なかなか分からなかったり、情報が古くなってから届いたりする。そこに「リアルタイム実況動画」が降ってくるわけである。

そりゃ夢中になる人が出るのは当たり前。結果として状況認識が改善されるわけだから、「ほげほげポルノ」の中でも、割と有益なではないか (え ?)

もっとも、そうなると「口出ししたくなるけど、そこはグッと我慢して現場に任せる」という、新手の忍耐が必要になってくる。快楽と忍耐は背中合わせ、という話なんだろうかこれは。


なんてことを適当に書き連ねているタイミングで、ジャニーズ事務所の新体制に関するニュースが流れてきていたらしい (見てないので詳細は知らない)。

この件、詳しく追っていたわけではないし、よく分からないのに首を突っ込んでいっちょかみするのは避けたい。ただ、こういうタイミングになって、いきなり叩きに回る人を見ると、「これは怪しからんポルノではないのか ?」とは思った。

「怒りはネット上における最大の娯楽」といった人がいるらしいけれど、そのデンで行くと、特大級の燃料が投下されての「怪しからんポルノ」なのだろうなと。

フリーランサーの立場としてみると他人事ではないインボイス制度にしても、施行間際の土壇場になってワーワーいっている人を見ると、首をかしげざるを得ない。どんな制度をいつからやるかは事前に分かっていたはず。それなら先に「こういう問題点が予測される」ってやるのが報道や政治の仕事なんじゃなくって ?

ただ、同じように見える批判的言辞でも、それをなんとかしようとする意見あるいは行動を伴っているのであれば、これは「怪しからんポルノ」と一緒にできない。怪しからんを娯楽にして消費するだけなのが、怪しからんポルノだから。この辺、自分の仕事でも気に留めておかなければいけないことなのだろうなと。

怪しからんポルノを職業にしてしまったのが活動家か。と思ったら、以前に書いた話にストンとハマった。ような気がする。

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