Opinion : やっぱり定点観測は重要 (2023/12/18)
 

たまに Twitter でバズる (当社比) と、急にフォロワーが増えることがある。でも、しばらくすると漸減しているのがお約束みたいなもの。たぶん、バズった発言だけ見て「面白そうな人だ」と思ったけれど、その後の推移を見てガッカリ、アンフォローという流れではないかと推測している。

もちろん、フォローしていただくのもアンフォローしていただくのも個人の自由であるから、どうこういうつもりはなくて。ただし一方で、ウケを狙った投稿、歓心を買うための投稿をするつもりもなくて、これもまた個人の自由に属する問題。

だいたい、ウケるため、歓心を買うために投稿するようになったら終わりである。そんなことをしていたら、いずれどこかで道を踏み外す。

ただまあ正直な話、「ひとつの投稿だけ見てないで、しばらく様子見してから決めても遅くないんじゃね ?」とは思っている。トヨタのアルテッツァじゃないけれど、「5% の非日常と 95% の日常」。たまたま、何か間違ってバズった投稿は非日常。普段の投稿は日常。


だいたい昔は、BBS でもなんでも、「しばらく ROM して様子を見てから投稿する方がいい」といわれていたものである。こんなことをいちいちいうこと自体「インターネット老人会」丸出しなのだけど、この教えはけっこう正しい。まず「その場の雰囲気」を掴まないと、「空気嫁」と罵倒されるなどする。

実は、これに限らずさまざまな分野で「定点観測」は大事だと思っていて。なぜかというと、ある程度、継続的に見ていないと「雰囲気」や「傾向」が掴めない。たとえば、何かおかしな発言やおかしな挙動やおかしな記事が出てきたときに、それが単発のものなのか、いつものことなのかが分からない。

継続的に定点観測していれば、何かおかしな発言やおかしな挙動やおかしな記事が出てきたときに「はいはい毎度恒例」といて済ませたり、逆に「これは普段と違う、何かがおかしい」と気付いたりできる。それは定点観測によって基礎データを積み上げているからできること。

連続的に定点観測することで、「点」の情報だけでは読み取れない傾向が見えてくるのは、よくある話。また、「パターン」を把握する役にも立つ。パターンが分かっていないと、パターンから外れた何かの存在が分からない。

よく、報道機関なんかを指して「偏向している !」といきり立つ人がいて。実際、そう思いたくなる事例はあるけれども、これとて日頃から定点観測してパターンを掴むことは重要。そうすることで、「偏り具合を脳内補正する係数」のようなものができてくるから。単発で、特定の記事だけ見ていたのではそれができない。

名前を挙げることはしないけれども、ある航空宇宙・防衛系ニュースサイトが、特定のプロダクトのことをムキになって腐している。これも、何年も定点観測してパターンを掴んでいるからできることで、何か腐し始めれば「また始まった」といってスルーするだけである。


ただ、テンプレ通り、公式通りに動く個人や組織であれば、定点観測してパターンや傾向を掴むことの有用性は分かりやすい。ところが、そもそもテンプレや公式がない相手、テンプレや公式をいきなりぶち壊してくる相手になると、話が違ってきてしまう。

定点観測して蓄積したデータに基づいて、「相手はこう出てくるに違いない」と思っていた想定が吹っ飛ばされる、なんてことも起こり得る。そういう、「いきなりパターンを壊して、相手の予測をおじゃんにするようなことを仕掛けてくる相手は手強い」という話にもなり得る。

では、立場を逆にして、それを誰かさんに対して仕掛けようと思ったら。すると多分、自分で自分のことを定点観測しておいて、意識的にパターンを作っておく (見せかけておく) という話になろうか。

これを国家レベルで、あるいは企業や軍事組織のレベルでやられたら、けっこう手強いのではないかなあ。

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