税務訴訟 [Round.1 : そもそもの発端]
 

私が在職していたマイクロソフト (に限らず、日本に進出しているアメリカ企業の多く) では、役員、あるいは従業員に対して、米国本社株式を利用したストックオプション制度がある。

いうまでもなく、日本法人に勤務し、日本法人から給与を貰う身であるから、米国本社とは、直接の雇用関係は存在しない。

かかる状況下で、米国本社の株式を利用したストックオプション制度の権利行使によって所得を得た場合、それをどのような種類の所得とみなすかが問題になる。
当時、日本ではストックオプション制度が認められていなかったため、当然ながら、日本の所得税法その他には、ストックオプションの権利行使によって得られた所得に対する課税方針は、規定されていなかった。

そのため、当局から「一時所得」として確定申告するよう指導があった。マイクロソフトも、当然ながらこの方針に従っており、人事部 (だったと思う) から、「一時所得として確定申告するように」という告知がなされていた。

このことは、東京国税局の幹部が職名を出して、毎年のように「確定申告用の参考資料」として執筆している「所得税確定申告の手引き」などの過去の版において、海外親会社のストックオプション行使によって得られた所得を「一時所得」として申告するように書かれていることによっても、証明されている。

個人の資格で刊行したものならともかく、国税局の職名で、大蔵省 (当時) の外郭団体かどこかから出している書籍にかかる記述があれば、それは当局の「オフィシャル参考書」とみなすことができるし、実際、それを参考にして徴税業務を行っているというのは、後の武蔵府中税務署員による発言でも裏付けられている。そこで「一時所得」と書かれていれば、それを信用しない方がどうかしている。

そこで、1997 年以降、権利行使によっていくばくかの所得を得た私の場合も、こうした一連の告知に従い、毎年、武蔵府中税務署に対して確定申告書を提出した。1999 年 3 月に退職したため、権利行使は 1997〜1999 年の 3 年度にわたり、確定申告書の提出は 1998〜2000 年まで行われた。

この間、過去に提出した確定申告書の内容に関して、当局から呼び出しが来るようなことはなかったため、それで問題ないと考えていたものである。


ところが、2000 年 4 月 10 日に、武蔵府中税務署の根屋氏 (仮名) より拙宅に電話があり、「2000 年 3 月に提出された確定申告書に記載されている『一時所得』がストックオプションの権利行使によるものであれば、給与所得として修正申告せよ」とのこと。まさに、寝耳に水の騒動である。

その際、私が「承服できない」として修正申告を受け容れず、さらに「権利行使の状況を証明する書類を出せ」との先方の要求に対して「かような書類は存在しない」と答えたところ、「それでは、一時所得の全額を給与所得とみなして更正処分する」という宣告があった。
私がそれに対し、「不服申し立てができるのか」と問うたところ、「署長に対して異議申し立てができる」との回答であった。

このときの電話の内容たるや、「申告の間違い」という言葉を連発し、まるでこちらが犯罪者で、意図的に税額が少なくなるように申告したかのごときであった点を付記しておく。

なお、このときの電話では「1999 年以前に提出された申告書については、これから調べる」という話であった。確定申告書の時効は、通常は 3 年である。そのため、過去に遡及するとしても、この時点では、1998 年に提出した 1997 年分までが限度となる。


ところが、その後 2 ヶ月あまり、何の音沙汰もない状況が続いた後、6 月 8 日になって、また根屋氏 (仮名) より電話があり、「具体的な所得の内容について話を聞きたい」とのこと。4 月の時点で「更正処分する」と高圧的、かつ一方的に宣告したにもかかわらず、ずいぶんとトーンダウンしたのは奇奇怪怪である。

その電話の席で「いつなら都合がいいか」と聞かれ、「締め切りを抱えてる追い込みの状態だから、少なくとも 7 月にならないと駄目だ」と回答したところ、以後、音沙汰なしであった。


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