税務訴訟 [Round.16 : 審査請求の巻]
 

審査請求なのだ (2002/7/15)

不服申立と違って、審査請求までの猶予期間は 1 ヶ月しかない。ボヤボヤしていると、時間切れで審査請求ができなくなってしまう。そこで、仕事にある程度目処がついたので、急いで審査請求の用紙をまとめて提出した。

東京では、国税不服審判書は麹町税務署と同じ、九段の合同庁舎に入っている。「正副」2 通、同じ書類を出せというのでその通りにしたが、実際には手元に控えが要るので、同じ書類を 3 セット用意することになる。(審判所の Web には、「控え」に関する記述がないので注意)
もっとも、「控え」がなくても、正しい書類を収受させれば問題はないのかもしれないが、ちゃんと収受印を押した書類が手元にある方が安心だ。

で、以下に示すのが、書類と一緒に提出した「理由」。大した分量にしないつもりが、A4 用紙 10 枚分になってしまった (笑)
異議決定で書かれていた内容を逆手にとって逆ねじを食わせた挙句、この日のニュースまでタイムリーに織り込んだところがミソ。


これは所得税法違反である

原処分庁は、異議決定に際し、以下のように述べることで、ストックオプションの権利行為による利益を「給与所得」と認定している。

(ロ) また、申立人は、本件ストックオプションの行使に係る所得が、市場株価に基づき算定されるものであり、その株価は企業の業績だけに左右されるわけではなく、所得の実現が偶発的であるとも主張されます。
 本件ストックオプションは、株価連動型のインセンティブ報酬であって、申立人が主張するとおり、その所得の実現が株式市場の動向を反映することは事実ですが、所得税法第 34 条第 1 項の規定により、労務その他の役務の対価としての性質を有するものが一時所得となることはありません。
 前期ニの (イ) に記載のとおり、本件ストックオプションは、申立人が日本マイクロソフト社の使用人としての地位に基づいて付与され、その後、一定期間、同社に対し継続的勤務を行ったことにより行使可能になったものですから、本件ストックオプションの行使に係る所得が労務の対価としての性質を有し一時所得には当たらないことは明らかです。したがって、申立人の主張には理由がありません。

しかしながら、この主張は一件、筋が通っているように見えて、実は支離滅裂である。その理由は以下のとおり。

  • 権利行使によって利益が得られるかどうかは、市場における株価の推移を無視しては考えられない。
  • また、権利行使に際して購入・即売却という過程を経た場合、売却価格を指値、あるいは成行で権利行使者本人が指定できる (末尾の用紙を参照)。
    このことは、権利行使によって得られる利益のタイミングと金額を、行使者本人がコントロールできることを意味している。
  • また、権利行使のタイミングを本人が意図的にコントロールし、異なる 2 つの年度に分けることで税額減少を図る、あるいは株価の動向如何によって行使するか否かを決定する、ということが可能である。これは、一定期間に提供された「役務」の対価としての「給与」の性質にはなじまない。
  • 一般的に、本人が金額を自由にコントロールできるという行為は、株式売買等の「経済行為」では認められるが、「労働の対価」たる「給与」の決定においてはあり得ない。
  • しかしながら、原処分庁はかような経済的実質や、ストックオプションという制度によって得られる利益の直接原因を無視し、「社員が権利付与された」という間接原因のみに立脚して「給与所得である」と強弁している。

そもそも、所得税法において「所得区分」なる概念が定められているのは、所得の性質と関係なく一律に課税せず、所得が発生するまでの過程に配慮して、それぞれの性質に応じて適切な所得計算と課税を行うためである。

しかしながら、原処分庁はかかる立法趣旨を意図的に歪曲し、目先の税収増のために所得区分の解釈を何の予告もなく実施し、かつ、それを公表せざることで、闇討ちの課税による追徴、ならびに延滞税・過少申告加算税の徴収を企図している。

つまり、今回の「給与所得」としての更正処分は、原処分庁が主張するように「所得税法の給与所得の解釈」を根拠としているどころか、むしろ所得税法違反である。

所得区分の拡大解釈は重大な問題を生む

さらに、原処分庁が主張するように、「社員、あるいは役員」としての地位に立脚して得られた利得が「給与」としての性質を備えているとすると、以下のようなケースも、間接的には勤務先に対する役務を提供することで得られた利益であるから、すべて給与所得と看做して課税するべきである。
なぜなら、「経済的実質」という直接原因よりも、間接原因が優先するというのが原処分庁の主張だからである。

  • 社員食堂で安価に昼食を摂った場合、市価との差額は給与所得である
  • 社内の自動販売機で市価より安価に、あるいは無料で飲料が提供されていれば、市価との差額は給与所得である
  • 社員割引で自社製品を安価に購入すれば、市価との差額は給与所得である
  • 社員持株制度によって株式を購入し、それを売却することで得られた利益は、すべて給与所得である
  • 退職金は、原処分庁が主張するように、まさに「長期にわたって継続的な役務を提供して得られた所得」の典型例であるから、退職所得の存在は所得税法違反であり、給与所得として課税すべきである
  • 外務省の職員が機密費を横領して私費に流用した場合、これは外務省職員という立場に立脚して得られた資金であるから、給与所得である
  • 国税 OB が、「無試験の特典」によって取得した税理士の資格を使って税理士を開業し、かつ、国税当局から斡旋された顧問先から得た収入は、元はといえば国税庁に対して継続的役務を提供した結果として得られた利益であるから、これも給与所得である。
    直接的には事業所得に分類されるが、直接原因よりも間接原因を優先すべしというのが原処分庁の主張であるから、これは間接原因に則って給与所得となるのが当然である

しかしながら、現実にはそのようなことは起きていない。ひとり、ストックオプションのみが狙い撃ちにされているのは理解に苦しむ。このことも、本件が所得税法の解釈を歪曲し、恣意的に行われた処分であることを裏付けている。

会計上の問題との混同はできない

なお、2002.7.15 付の日経新聞によると、米コカコーラ社が「ストックオプションを給与として経費化」とのことである。このニュースを聞いて、「ほらみろ、給与じゃないか」と小躍りした国税庁の関係者が存在したであろうことは想像に難くない。

しかし、これはあくまで会計上の問題であって、ストックオプションの権利行使によって得られる利益の本質には、何ら影響を及ぼさない。また、「利益が発生した直接原因や経済的実質に関係なく、社員という立場が利益をもたらしたという間接原因こそが給与所得たる原因である」と主張する原処分庁の見解には、このニュースはまったく影響しない点を付記しておく。なぜなら、原処分庁は会計上の取り扱いについて、異議決定の中でまったく言及していないからである。


ストックオプションと「賃金」の概念 (1)

労働基準法の第 3 章「賃金」では、

(賃金の支払)
第 24 条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

とされている。国税庁側は、外資系企業についてはストックオプションを「権利行使による株式取得時に課税」とする立場を崩していないようであるが、権利行使によって株式を取得した場合、それは賃金を「通貨」として受け取ったとはいえない。なぜなら、株式は有価証券ではあっても、通貨ではないからである。
しかし、現実には権利行使の際に課税が行われている。この矛盾に関する、筋の通った説明を要求する。

ストックオプションと「賃金」の概念 (2)

労働省・労働基準局長からの通達として出されている以下の文書と、原処分庁が提示する課税根拠には、明確な矛盾がある。
少なくとも、「賃金には当たらない」が「給与所得であり、労働の対価である」という論旨は支離滅裂であり、社会通念上、納得のいく説明とは考えられない。

ストックオプションと労働基準法との関係
(平成 9 年 6 月 1 日基発 412 号)

改正商法によるストック・オプション制度では、権利付与を受けた労働者が権利行使を行うか否か、また権利行使するとした場合において、その時期や株式売却時期をいつにするかを労働者が決定するものとしていることから、この制度から得られる利益は、それが発生する時期及び額ともに労働者の判断に委ねられているため、労働の対償ではなく、労働基準法第 11 条の賃金には当たらないものである。

したがって、改正商法によるストックオプションの付与、行使等にあたり、それを就業規則等にあらかじめ定められた賃金の一部として取り扱うことは、労働基準法第 24 条に違反するものである。

なお、改正商法によるストック・オプション制度から得られる利益は、労働基準法第 11 条に規定する賃金ではないが、労働者に付与されるストック・オプションは労働条件の一部であり、また、労働者に対して当該制度を創設した場合、労働基準法第 89 条第 1 項 10 号の適用を受けるものである。

また、原処分庁は異議決定に際し、異議申立の理由のひとつとして提示した、上記の通達文書を黙殺している。もし、この件に関して筋の通った理由が存在するのであれば、それを書くことには何の問題もないのであり、あえて黙殺したこと自体が、この通達が原処分庁側にとって不都合な内容を含んでいることを示す証拠である。

市場価格に依存する偶発性(1)

企業の株価は、土地の価格と同様、永続的に上昇するというものではない。そのため、権利付与があっても、将来的に所得が得られるということは、まったく保証されていない。現に、米国 NASDAQ 市場における株価の暴落によってストックオプションが紙屑と化した事例は、2000 年から 2001 年にかけて続発した。

この場合、いくら精勤していても「対価」はゼロということになる。行使して利益が出たときだけ「精勤の対価である」として徴税し、株価下落によって含み損、あるいは利益の逸失が生じた場合は知らん顔というのは、ただの二枚舌である。
ストックオプションという制度そのものが「精勤の対価」であると主張するなら、株価上昇による利益発生と、株価下落による利益逸失の両方について手を打つのが当然であろう。なぜなら、「精勤の対価」であると主張するということは、精勤に対して相応の対価が常に伴うということを意味すると考えられるからである。

しかし、現実の株式市場においては、企業の業績が良好でも、別の外的要因によって株価が動くことも少なくない。たとえば、同業他社が業績不振に陥ったため、業績がよい会社まで巻き込まれて株価がセクター単位で低迷するということは、実際、多く起きている。このことを勘案すると、ストックオプション制度を個人の業績に対する「成功報酬」と考えた場合、制度によって得られる収入と業績の間に「直接的な比例関係」があるとみなすのは無理がある。

また、権利が行使可能になった時点で株価がどのような推移を見せているかは、社員個人にはコントロールできない領域の話である。業績がよくても株価が上がらない、あるいは赤字続きでも株価が上がっている、といった事例はたくさん存在する。それと「労働の対価」をリンクさせることには、根本的に論理矛盾がある。

市場価格に依存する偶発性 (2)

しかも、今回問題になっている外資系企業各社の場合、問題になっている株式は米国本社のものである。world-wide に事業を展開する大企業においては、日本法人の業績だけで米国本社の株価が動くものではなく、場合によっては日本法人が健全経営でも米国本社の経営不振によって株価低迷、ということも起こり得る。この場合、日本法人の社員は「精勤の対価」を手にすることができず、くたびれもうけとなる。

あるいは逆に、日本法人の業績は今ひとつでも、米国本社の業績が絶好調なら、米国の株式市場においては株高を招く可能性は高い。それでも、業績が上がっていない(=精勤していない)日本法人の社員が、米国本社の株式を使用したストックオプション制度の権利行使によって利益を得ることは、(vesting さえされていれば) 何人も妨げ得ない。
このことも、「ストックオプション = 精勤の対価」とする原処分庁側の主張の根拠のなさを証明している。

含み損という「精勤の対価」?

昨今のように株価が低迷している場合、権利の行使そのものができない、あるいは過去に権利行使して株式を取得したものが多額の含み損を抱えているという事態は多い。にもかかわらず、国税庁側が「行使時課税」という方針を掲げているために、借金して納税している実例についても、悲痛なる内容の投稿が手元に送られてきている。
かような事態を惹起せしめ、かつ何等の救済措置も講じていない理由は ?

少なくとも、ストックオプション制度が「精勤の対価」であるならば、精勤したものは等しく対価を受け取るべきである。それが、国税庁職員の好む「平等」という言葉の意味するところであろう。
しかし、株価が労働者個人の努力と無関係なところで動く以上、労働の成果と、ストックオプションに代表されるような株価連動型の報酬の間には、直接的なリンケージが存在しないのは、ここまでに提示した各種の指摘からも明白である。

所得の性質に関する疑問点 : 保証されない利益

これまでの問題提起で判明しているように、ストックオプションとは、あくまで「将来的に多額の差益が得られるかもしれない」という制度であり、多額の差益を最初から保証しているものではない。相場の動向によっては、実際には差益は少額、ひょっとすると皆無にもなり得るという性質のものである。
それに、vesting される前に何か事情があって会社を辞めるかも分からない。その場合、権利行使によって差益を得る可能性はゼロである。

見方を変えれば、これは給料の代わりに「宝くじ」を支給するようなものである。「3 億円当たるかもしれないから、これを給料として支給する」などという給与の出し方は、絶対にあり得ない。

つまり、原処分庁は「expected (期待される)」なものであるストックオプションの権利行使に伴う利益を、意図的に「assured (保障される)」と歪曲している。

株価下落による「賃金不払い」

株価の低迷によってストックオプションの権利行使による利益が得られなくなったということは、本制度によって得られる利益を「労働の対価」と位置づける原処分庁側の見解を敷衍するならば、「給与不払い」が発生したということになる。
給与の「不払い」が発生した場合の、通常の税制上の取り扱いは ? もし、それがストックオプションの権利行使に関する含み損に対して適用されないとすれば、その理由は ?

少なくとも、権利付与なくして権利行使はないのであるから、「行使=対価」という単純な考え方が適用されないのは明白で、権利付与 → vesting → 権利行使という、一連のプロセス全体を視野に入れた対応が必要なのは明白である。

どうしてもストックオプションの権利行使が (含み益も含めて) 精勤の対価であると主張するのであれば、逆に、含み損が発生した場合についても手を打つのが自然であると考える。


「確定申告の手引き」等、官庁本の信頼性欠如

少なくとも、過去の課税実務において「一時所得」と指導してきた事例が存在するのは、すでに事実であることが明らかにされている。国税庁はそれを「誤指導」と主張するが、「誤指導」であるはずのものが「所得税確定申告の手引き」に代表される官庁本に堂々と、しかも国税庁職員の職名をもって書かれていたということは、「所得税確定申告の手引き」そのものがアテにならない文書なのではないかという疑問を惹起する。

もし、各種の官庁本が課税実務に際して「信頼できるもの」として取り扱われているのであれば、それに基づいて実施されてきた、過去の「一時所得」としての課税もまた信頼できるものであり、「誤指導」ということはあり得ない。
また、もしも国税庁が自ら、一連の官庁本の記述を否定するのであれば、それは官庁本の信頼性そのものを否定するものであり、かような書籍を毎年のように売っているという行為、それに立脚して課税実務を行っているという行為そのものが問題となる。

解釈転換が公表されざる理由

解釈の変更であれなんであれ、正しい申告を普及せしめる観点から見て、国税庁は正しい申告が行われるよう、常に広報活動を行うべきであると考える。今次案件のように重大な変更が、ある日突然、一通の通達によって変更され、しかもそのことを納税者側に対して広報しないのは、明らかに国税庁側の怠慢である。

当初より「給与所得として申告するように」と適切に広報していれば、正しい申告と課税が行われ、現在のように訴訟が続発するような事態は生起しなかったハズである。まして、対象になる外資系企業が何万社もあるわけではない。各社の担当者に宛てて文書を送り、事情を説明すれば済むというだけのことである。それによって確実な税収が得られる上に、後から蒸し返すよりも無駄が少ない。
しかるに、現実の国税庁の対応は、密かに解釈を変更しておき、後から闇討ちをかけるかのごとき形で追徴を迫っている。かような手法が許されている法的根拠は ?

このような、本来とられるべきであった措置を怠り、結果として課税現場に混乱を生起せしめた責任に関する、国税庁による筋の通った説明を要求する。

広報の不徹底を示す証拠

武蔵府中税務署の佐藤氏は、申告に際していちいち税務署に伺いを立てろ、という趣旨の主張を行っている。しかし、現実問題として、確定申告の度にすべての納税者が税務署ならびに関係機関に押しかけて、自分が関わるすべての分野について法律の変更や解釈通達の変更があったかどうかをいちいち問い合わせていれば、税務署の業務がパンクするのは自明の理である。となれば、かような無駄を防ぐためには、事前に広報活動に励むのが筋であると考えられるが、国税庁がそれを怠っているのは理解に苦しむ。

また、同氏が引き合いに出した「タックスアンサー」についていえば、少なくとも 2000 年暮の時点ではストックオプションに関する記載はなく、また、この発言があった 2000 年暮から 2001 年にかけて、国税庁自身の Web サイト (http://www.nta.go.jp/ のことである) で「ストックオプション」をキーワードに検索しても、何もヒットしなかった。
にもかかわらず、「タックスアンサーや国税庁の Web サイトがあるのだから、知らなかったというのは理由にならない」と佐藤氏は主張する。これが筋の通った主張とは、考えられない。

遡及ということの横暴

また、「過去の申告に遡及する」という点にも問題がある。この論法で行けば、消費税が 5% に上がったら、それ以前の消費支出についても、消費税の差額 2% を追加納税しなければならないということになる。そんな馬鹿な話はない。 この件に関して国税庁がもっとも使いそうな主張は、「所得隠しは過去に遡及して追徴することができる」というものであろうと想像される。しかし、「一時所得」と指導していたのは、当の国税庁である。それを「所得隠し」というならば、過去の経緯から見て、国税庁が自ら、納税者に対して「所得隠し」を指南していたということになる。

昭和 60 年ごろから提出されている、過去の古い確定申告書については、単に国税庁の怠慢で物言いがつかなかっただけという可能性も考えられる。しかし、それなら自分たちの職務怠慢のツケを納税者に転嫁しているわけだから、ますますもって看過し難いものがある。
そもそも、マイクロソフト株式会社がストックオプション制度を運用し始めたのは、ここ数年の話ではない。また、武蔵府中税務署の管内に居住していたマイクロソフトの関係者は審査請求人ひとりではない。だから、「数が少なくて見落としていた」という言い訳は成立しない。

よしんば数が少なかったのだとしても、数が少なければ見逃すというのでは、とても公平な課税とはいえない。数が多かろうが少なかろうが、正しくない申告を見つけるために、国税庁の職員は国民の血税で雇われているのではないのか。かように透明性の欠如した課税現場を放置しておくために、米陸軍の重師団 3 個分にも相当する、50,000 名を超える国税職員が国民の血税で雇われているのではない。

少なくとも、民間のビジネスにおいて、「この前売った商品の価格が間違っていたので、過去に売った分も含めて 3 年分、差額を払ってくれ」などと言い出せば、袋叩きに遭うのは間違いないし、よしんば言い出したとしても、頭を下げて回るのが常である。そもそも、そんなことを言い出す者は、まず存在しない。
民間では「非常識」とされることが「官」では常識とされるのは理解に苦しむ。本件に関する筋の通った説明を聞きたきものなり。

課税実務に関する疑問点 : 商法改正の問題ではない

また、「1997年の商法改正によって、日本でもストックオプション制度が利用できることになったので、それを受けて所得区分の解釈を変えたのだ」というかもしれない。しかし、日本の商法改正がどうあれ、ストックオプションという制度の内容と、それによって得られる利益の性質を勘案すれば、すでに主張してきているように、それが「精勤の対価」としての性質を持ち得ないことは明白である。

しかも、審査請求人自身についていえば、「給与所得」にまつわる電話が初めてかかってきたのは 2000 年 4 月のことである。1997 年の商法改正後、3 年も放置していたのだから、それは単なる国税庁の怠慢であるという結論が導き出されるのは、至極当然であろう。

こうした事情から見て、国税庁の本音は、1999 年から 2000 年にかけてのアメリカの株高と、それによる、日本における外資系企業社員のストックオプション行使増大、それに加え金額が大きなものになってきたという様子を見て、「あいつらは儲かってるみたいだから、取れるところから取っちまえ」という話になったという話ではないか、と看做さざるを得ない。
もし、この認識が誤りであるとするなら、その論拠を聞きたきものなり。


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