税務訴訟 [Round.18 : うちじゃないけど勝訴判決、の巻]
 

うちじゃないけど勝訴判決です (2002/11/26)

というわけで、自分の話でないのが残念ながら、第一弾の勝訴判決が出た。どーせ国税は往生際の悪さを発揮して控訴するんだろうと思うが、とりあえず、めでたい。

判決によると、

同制度の権利行使利益を給与所得と考えることは、給与を運用して得た利益も給与所得として課税できることになり採用できない」と指摘した。(NIKKEI NET)

利益は、株価変動という偶然の要素があるので就労の対価ではなく、一時所得だ (asahi.com)

といった指摘がなされたとの由で、当たり前といえば当たり前のこと。その当たり前のことを、国税が理解していなかった、否、理解したがらなかったというだけの話なのだ。

さて、こちらも当分、あちこちに連絡を取りまくる日々になるかもしれない。この忙しいのに大変だけど、百万の味方を得た思いだし、ちょっとぐらい忙しくなっても、文句はいわない。
とりあえず、速報ということで、これだけ。

追記。
NIKKEI NET の記事によると、こんな話が出ている。

国税庁は 97 年分まで主に一時所得として課税していたが、98 年分から統一的に給与所得とした。今年 6 月から海外分も給与所得とするとの国税庁通達で明記され、国内分との格差は表面上はなくなった。

いや、そういう問題じゃない。
だいたい、国民の代表たる国会の審議を経ていない一片の通達ごときで、ストックオプション制度による所得の本質は変わらない。投資家のファンダメンタルズに依存する株価によって所得が大きく増減するという本質が同じである以上、通達が出ていようがいまいが、国内企業だろうが海外企業だろうが、そもそも給与所得として扱うことに無理がある。

現に、今もって当局は、ストックオプションを給与と位置付けた場合の「株価低落時の給与不払い問題」の指摘に関して、まったく回答を示していない。この件に関して明快かつ論理的整合性のある回答が示されない限り、どこの会社であれ、給与所得として課税するのは筋が通らないと思う。

審判所から電話です (2002/11/28)

%タイトル% で用が足りてしまった (笑)
国税全面敗訴の判決で、尻に火がついたかな ?

「そろそろ裁決書をまとめたいが、何か追加の言い分はあるか」というので「特にない」と回答。先方がいうには、こちらが出した「反論書」(Round.17 に載せたやつ) に対する反論の有無を原処分庁に問い合わせたところ、特にいうことはないという返事だったとの由。笑える。(回答できるもんならやってみろ、ってか)

12 月上旬で双方の言い分を集めるのを打ち切り、裁決書の作成に入るということだったので、年末か年明けには裁決書を見られそうだ。果たして、先日の敗訴判決を受けて、何か新手の言い訳を持ち出してくるのかどうか、要チェック。
結論については予定調和で決まりきっているから、注目したいのは、結論ではなくて理由なのだ。

審判所の出方が読めた (2002/12/10)

というわけで、前日の 9 日に審判所に乗り込んで、PowerPoint を駆使して「対価性のなさ」を指摘した上で、「地位に着目することの支離滅裂」を、例の国税 OB 税理士の事例を引き合いに出し、ミソクソにこき下ろすプレゼンテーションを実施してきた。

応対した、審判所の林・佐々木の両氏は、ほとんどの間「ふんふん」と頷き、メモを取るだけだったのだが、唯一、林氏が質問をしたのが、こちらがチラつかせた「指揮命令」という言葉。

「今、指揮命令とおっしゃいましたが」というので、すかさず「ええ、直接レポートしてたのは日本法人の人間ですけど ?」と返したところ、「では、間接的にはどうなんですか」との問い。

ははあ、きやがったな。

少なくとも、「対価性」とか「地位に着目」という点で正面から反論するのは難しいと見て、「米国本社の指揮命令下にあるから給与所得云々」と書くつもりなのだろう。
そこで、こう切り返した。「それは解釈次第でどうとでもいえるので、ここでは言及しません」

賭けてもいい。棄却の裁決書では「指揮命令系統」の話が前面に押し出されてくるはずだ。
しかし、審判書に書面として提出したものでは、私は「指揮命令系統」の話はまったく触れていない。触れていないことを裁決書に書けば、すでに他の事例があるように、「訊いてもいないことを延々と答えた裁決書」という突っ込みができる。

どっちみち、裁決書の内容は、全文を担当審判官の名前入りで公開する予定なので、乞う、御期待。

税務署員の甘言に騙されるな (2002/12/11)

今回の勝訴判決で、「自分は提訴してないけど、進行中の訴訟が勝てば自分の分の税金も adjust されるのではないか」と思っているサッカリンのように甘い考えの持ち主は、こちらの記事の後段部分を読んでおいた方が良いと思う。

だいたい、追徴した分だけで一説によると 500 億。もし、給与所得として申告させた/された分まで全部 adjust した日には、イージス護衛艦 1 隻分の国家予算が飛んでしまう可能性がある。そんな決定を下した日には、当事者は間違いなく財務省から睨まれて出世の道が閉ざされるだろうから、そんな危険に付き合う根性がある国税の関係者がいるはずがない。
彼等にとっては、物事の筋道をひん曲げる危険の方が、自分の出世の道を閉ざす危険より小さく見えるだろう。

だから、「給与所得だ」というあちらさんの言い分がおかしいと思ったら、とにかく一時所得で出して更正させ、訴訟に持ち込むしかないのだ。皆で審査請求を怒涛のようにぶちかまして、審判所をパンクさせてしまおうではないか (笑)


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