税務訴訟 [Round.26 : ちょっとブレイク 3]
 

悪魔の国税辞典

初出 : 2004/3/5
改訂 1 : 2004/3/15

どこぞの政党や団体みたいに、キーキーと金切り声を上げて文句をいうだけが能じゃない。むしろ、諧謔の精神を発揮しておちょくり倒す方が、よほど面白いというものだ。人間が万物の霊長なら、それぐらいやらなければ。というわけで、「悪魔の辞典」ならぬ「悪魔の国税辞典」の登場。


記号・数字

2 階建て【にかいだて】
税理士の需要倍増と、国税職員の天下りを一度に実現するために国税当局が考案したウルトラ C。本来の税理士としての仕事をする税理士と、当局の斡旋によってあてがわれる国税 OB 税理士によって構成される。場合によっては、さらに国税 OB 税理士が上積みされて「3 階建て」となる場合もある。2 階より上の OB 税理士は、税務申告の際にハンコを押すだけ、あるいは決算の際に顔を出すだけ、ということが多い (とされている)。
なお、1 階建てより 2 階建てにした方が効率が上がるのは、新幹線電車ぐらいのものであり、「オール 2 階建て税理士 Max」なんていう事態は願い下げである。


A-Z

KSK【けーえすけー】
公式名称は「国税総合管理システム」とされているが、平素の資料せん収集活動にも関わらず、肝心なところで非違を発見できない「国税はさっぱり気付きませんでしたシステム」でもあるようだ。(→資料せん)

OB 税理士【おーびーぜいりし】
ゴルフをすると OB ばかり叩いている税理士、ではない。
国税職員という地位に基づいて、税理士としての収入を得るための原因を得ているにもかかわらず、地位に基づいて所得区分を決定されない人達の別名。一定年限の勤務により税理士の資格を無試験でゲットできるほか、署長・副署長・局長などの「一部指定官職」については、退職後の顧問先まで当局から組織的に斡旋されるという、まさに「地位に基づく利益」を享受しているにもかかわらず、得られた所得は給与所得に分類されない。
なお、開業後は税務調査に入られないという特典も付くらしい。(→2 階建て)


異議決定【いぎけってい】
更生処分への異議申立に対して、対象となった税務署長が却下すること。そもそも、処分した当の本人に異議申立を行うというところからして、その実効性が極めて疑問視されている。実は、単に当局が時間稼ぎを行って納税者を疲れさせるために用意されている手続き。それが証拠に、国税通則法で規定されている期限である 3 ヶ月ギリギリにならないと、異議決定書は届かない。(→審査請求、更生処分)

お尋ね文書【おたずねぶんしょ】
税務署が自らの仕事の一部を納税者に負担させて楽をする目的で、出すのが必須の法定文書であるかのように見せかけて送りつけてくるもの。もっとも遭遇する機会が多いのは、住宅を購入した際に資金の出所について訊かれるものである。
なお、実際には法定文書ではないので、回答する義務はなく、書かなくても罰せられない。書くのが面倒なら、チリ紙交換に出すか、ヤフオクに出品してしまえばよい。

お土産【おみやげ】
調査部門の職員にとっては命の次に大切な、勤務評定のアップに貢献するもの。俗に「修正申告」ともいうが、「アガリ」という内輪の表現もあるとかないとか。たくさん集めると、賞品として国語辞典をもらえたりするらしい。逆に、調査に入ったのにお土産を持ち帰れないと、上司の心証を害して出世に響くのであろうか。


解される【かいされる】
通常、異議決定や審査請求の裁決において、国税に都合がいい内容の文言に続いて「〜と解されるべきであって」と使われる。つまりは、「おまえらは黙って我々の言うことに従っていればいいのだ」という言葉の婉曲表現。
ちなみに、納税者が「〜と解されるべきであって」と主張すると、課税の公平負担を図るために無視される。(→課税の公平負担)

確定申告【かくていしんこく】(2004/3/15 追加)
国税庁が、旬の女性タレントを使って TV コマーシャルや車内吊り広告を大々的に展開できる、年に一度限りのチャンスのこと。出演するタレントが誰の趣味で決まっているかは、知るよしもない。

課税の公平負担【かぜいのこうへいふたん】(2004/3/7 改訂)
取りやすいところ、あるいは儲かっていそうなところから、屁理屈と裁量を駆使して税金を取る、という行為の公式表現。決して、この言葉が税収減少に働く方向で使われることはない。
往々にして、国家公務員、とりわけ国税庁・財務省関係者は「公平」の比較対象から除かれることになっているので、国税 OB 税理士のところには税務調査が入らない、というような事態が発生する。また、官僚が天下りと退職を繰り返し、その都度、税制面で優遇されている退職金を大量に受け取るのも、課税の公平負担を図る目的による。(→OB 税理士)

決定【けってい】
更正処分は、確定申告書が提出された結果に対してなされるものだが、それに対して決定とは、無申告の場合に税務署が一方的に税額を決めることを指す。もちろん、当局につけいる隙を与えないためにも、「決定」されるような事態を避けるべく、確定申告を確実に行わなければならない。
ちなみに、異議申立が却下された場合にも、「異議決定」という言葉が使われる。(→異議申立)

更正処分【こうせいしょぶん】
お土産を持ち帰らせてくれなかった納税者に叩き付けられる「当局からの果たし状」であり、納税者にとっては「税務訴訟へのパスポート」。更正処分だからといって (修正申告よりも) 税額が増えることはないが、不思議なことに、修正申告を迫った段階よりも追徴額が減ることはある。「処分」という言葉を使うことで納税者をビビらせようとしているようだが、更生処分を何回されたところで、脱税で検察に告発されるのでなければ刑法犯にはならないので、更正処分が多い日でも安心である。(→お土産)
なお、刑務所とセットで出てくる言葉は「更生」であって、「更正」ではない。「更生処分」という誤用に注意したい。

公平な第三者審査機関【こうへいなだいさんしゃしんさきかん】
スタッフを内輪で固めて、当局に都合の悪い結論が出にくいように抑止する、という行為の公式表現。ここでいう公平とは「公権力が平和でいられる」という意味である点に注意。ちなみに、「公平」ではなく「公正」という言葉が使われた場合は、「公権力が常に正義である」という意味。

国税不服審判所【こくぜいふふくしんぱんしょ】
国税当局の内輪で固めたスタッフを擁し、納税者からの審査請求を受け付けることで「救済の道が開かれている」と誤解させるための機関。また、審査請求の段階で納税者が当局に都合の悪いことを主張してきた場合に、それをもみ消す活動も行っている。ここで修業を積むと、次は税務署長のポストが用意されていることが多い。
かような事情から、往々にして原処分庁の主張をそのままコピペした裁決書を書くため、「こんな仕事は猿でもできる」とばかりに、一部では「国税不服チンパンジー」と陰口を叩かれているとかいないとか。(→公平な第三者審査機関)


社会通念【しゃかいつうねん】
国税庁が社会に対して通用させたいと念じている、自らに都合のいい屁理屈、あるいは独善的判断基準の数々を意味する言葉。「社会」という言葉から、世間一般の通念と誤解されかねないところがトラブルの元である。

修正申告【しゅうせいしんこく】
→お土産

慫慂【しょうよう】
修正申告に応じるよう、国税の権力にモノをいわせて納税者を脅しつける行為の公式名称。それぞれの漢字を分解してみると、どうやらこれは「(国税当局の) 大御心に従うようにという意志が、(国税関係者の) 心から湧き上がってきている」という意味らしい。と解される :-p

資料せん【しりょうせん】
納税者が提出した申告書に対して、非違を発見して "お土産" を持ち帰る際の根拠とされるもの。いわゆる税務調査以外でも、国税の権力にモノをいわせて銀行に顧客の預金情報を出させるのも典型的な資料せん集め。だが、泥棒が盗んだ金を預金すると、金額が千万単位に及んでいても、なぜか資料せん集めの対象外のようだ。(→KSK、お土産)

申告納税主義【しんこくのうぜいしゅぎ】
まず納税者が自ら税額を算定して確定申告を行う、というやり方のこと。これがなければ、当局が一方的に税額を「決定」して納税者からの物言いを受け付けるということになり、「申告漏れ」という得意の言葉を使えなくなってしまうので、この制度を維持することが肝要である。(→決定、申告漏れ)

申告漏れ【しんこくもれ】
当局の屁理屈による challenge を、世間に脱税と勘違いさせることで正当化するために用いられる言葉。通常、国税庁や国税局出入りのマスコミ関係者にコッソリとリークされることで、世間の知るところとなる。
なお、本物の脱税は検察に告発され、刑法犯として裁かれるので区別できる。「申告漏れ」は、検察に脱税犯として告発するほどの証拠が揃わないグレーゾーンのケースや、国税が新たな朝令暮改の裁量を世間一般の認識として定着させたい場合、あるいは国税のいうことを聞かない納税者を社会的に葬り去りたい場合に発動される。

審査請求【しんさせいきゅう】
異議申立を却下された納税者が国税不服審判所に対して行う、原処分庁の主張をコピペした裁決書を獲得して訴訟を起こす準備を整えるための行為。事実上、訴訟を起こすためのワンステップとしての意味しか持たない。(→国税不服審判所)

税務訴訟【ぜいむそしょう】
青軍の指揮官と演習統監を同一人物が務めたミッドウェイ海戦前の図上演習が、現代の行政訴訟制度において蘇ったもの。そのため、往々にして「いや、三分の一じゃ、ただいまの命中弾は三分の一とする」と統監が号令をかけるようなことが起こり、原告たる納税者の敗訴率を上げるために貢献している。(→調査官)

租税法律主義【そぜいほうりつしゅぎ】
(1) 法律を当局が好き勝手に解釈して通達を出した結果に基づいて納税しなければならない、と国税当局が解釈している言葉。
(2) 日本国憲法第 84 条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」のこと。

訴務官【そむかん】
各地の国税局に法務省から送り込まれている「訴えられ屋」。原告が弁護士を代理人として立てるのと同様、税務訴訟において被告とされる税務署長の代理人として活動する。訴訟に勝った場合の成功報酬として、個人向け国債でも支給してみてはいかがだろうか。もちろん給与所得として課税する前提だが。


通達【つうたつ】
国税当局が、法律と同様の効力があると勘違いして濫発しているもので、取りやすいところから税金を取るために、しばしば改訂されて新しいバージョンが出る。また、現場の屁理屈による追徴を正当化するために、後出しされることもある。
これが法律と同様の効力があるのだとすれば立法権の侵害であり、法律としての効力がないのであれば租税法律主義に反するという、どちらにしても憲法に抵触するのは確実な、摩訶不思議な存在。

調査官【ちょうさかん】
税務訴訟の際に、当局に都合がいい方向で審理を運ぶために送り込まれた刺客で、裁判官に付き従って暗躍する。いってみれば巨人戦の主審をナベツネ氏が務めているようなもので、裁判官が調査官の後入斎になった税務訴訟は、内容の如何に関わらず、ほぼ間違いなく原告が敗訴する。


納税の義務【のうぜいのぎむ】
日本国憲法第 30 条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」に由来する。決して「通達の定めるところにより」ではないのだが、実質的には、国税当局者が納税者を脅しつけて追徴を正当化する際に「納税の義務に従え」という使われ方をすることが多い。


浜田常吉【はまだつねきち】
元・札幌国税局長にして、国税ノンキャリの星と呼ばれた人物。ちなみに、国税局長の前は国税庁の首席監察官だったそうだ。「老後の不安」という大義名分を掲げ、当局から斡旋された 200 社あまりからの顧問料 (4 年間で 7 億 4 千万円) の所得を隠し、税額にして 2 億 5 千万円を脱税したとして逮捕され、現在も審理中である。
しかし、自らの身を挺して国税の闇を露見させた功績については、それなりに評価されるべきであろう :-p

不遡及の原則【ふそきゅうのげんそく】
(1) 税務行政の世界では、税金の還付や更正の請求については、1 年以上遡って実施してはいけない、という原則のこと。しかし、追徴については過去 3-7 年に渡って遡れることになっているが、これもひとえに「課税の公平負担」を図るためである。(→課税の公平負担)
(2) 税務行政以外の世界では、法律ができた後で、それを制定以前まで遡って適用してはいけない、という原則のこと。

藤山雅行【ふじやままさゆき】
東京地裁・民事 3 部で裁判長を務めていて、国税庁のみならず、すべての霞ヶ関官僚の天敵であると解されていた。しかし、課税の公平負担を図るため (?)、2004 年春より医療専門部に異動となった。




立法趣旨【りっぽうしゅし】
自分がやっていることに矛盾が生じた際に、国税が出す切り札。法律が違えば、立法趣旨が違うのだから解釈が違っていてもいい、というのが主張の骨子。自らマルチプル スタンダードの存在を認めて開き直り、都合がいいように法解釈していいのだと居直っているわけだから、なかなかいい根性をしている。二枚舌どころか多枚舌だ。

理由附記義務【りゆうふきぎむ】
更生処分に際して、その理由を明記しなければならないという義務規定のこと。しかし、課税の公平負担と税務行政の効率化、そして国税当局の文房具代節約を図るための抜け穴が多数用意されており、理由なき処分となるケースが少なくない。



| 「税務訴訟」に戻る |
| Round. 25 : 相も変わらず意気軒昂 | Round. 27 : 東京高裁民事 17 部はやる気が (以下略) |

Contents
HOME
Works
Diary
PC Diary
Defence News
Opinion
Special
Hobby
Ski
About
Old contents

| 記事一覧に戻る |