取材メモ 5 : 航空自衛隊 浜松広報館
 

所在地 : 静岡県浜松市西山町無番地
訪問日 : 覚えてないけど複数回


なんでも、浜松は「航空自衛隊発祥の地」であるらしい。浜松で 18 年間過ごした割に実感はないが、あちこちに自衛隊の官舎があったりして、なんとなく「自衛隊色」の濃い街であるのは事実だ。

そんな浜松の自衛隊基地は、パイロットの卵たちがウィングマーク取得を目指し、最後のスパートをかける場所。いわば、米空軍のランドルフかラフリンのような場所なので、平日は毎日のように T-4 が飛び交っている。さらに、近年になって E-767 AWACS も仲間入りしたので、ますます賑やかになった。

また、第一術科学校があるので、教材として (?) パトリオット SAM や F-15 など、浜松基地の第一航空団と直接関係のない装備品もある。このうちパトリオットのランチャーは基地の外周道路からでも見える場所に置いてあるが、場所は現地に行ってからのお楽しみ、ということにしておこう。あと、救難隊の機体も出入りしている。

その浜松基地の滑走路脇に、航空自衛隊の浜松広報館がある。なんのことはない、私が高校生のときに、毎日のように通学で自転車を走らせていた道の脇なのであった。
地図を見たところでは、和合町のオートレース場側から、あるいは東の泉町側からもアプローチできるように見えるのだが、実際には広報館は道の北側、しかも交差点から少しだけ西側に引っ込んだ場所にある。そのため、東側からアプローチすると、対向車線を横切らないと入れない。広報館前の交差点には信号がないので、正攻法は「南基地」側の正門前から基地に沿って、反時計回りにぐるっとアプローチする方法のようだ。

東名高速の浜松西インターで降りれば、自動的にこの方法でアプローチできて問題ないのだが、東側から来る場合は、いったん基地の北側から周囲を一周するか、さもなくば、顰蹙覚悟で対向車線を横切って入るしかなさそうだ。

広報館自体の入館は無料である。よって、自由に出たり入ったりできる。
施設は大きく分けて 2 棟に分かれていて、西側が自衛隊の任務や装備について展示した場所、東側が実機を納めた展示格納庫となっている。

たいていの人は、シミュレータが置かれていたり、航空自衛隊の歴史そのものといえる実機が置かれた東側の格納庫に入り浸りそうだが、西側の展示施設もなかなか馬鹿にしたものではない。
F-2A のモックアップ、用廃になった F-1、ミサイルや機体の模型、エンジンの実物、戦闘機に積まれている電子機器 (多分、用廃になった F-1 から降ろしたやつ)、対空機関砲、パイロットの装具、レーダーのコンソール、と盛りだくさんな内容で、オタク度の高い人には、むしろこっちの方が楽しそうだ。


F-2 支援戦闘機のモックアップ。モックアップで強度がないので、主翼が天井から吊られているのはご愛嬌。

あと、全天周シアターや、簡易なモーション付きの T-2 シミュレータなんてものもあるので、時間が合えばチケットを手に入れて楽しむことができる。私は装備品に夢中になっていて、シアターどころではなかったけど。

航空自衛隊の任務に関する展示で感心したのは、第一線部隊だけでなく、後方支援分野にもちゃんとスポットライトを当てていること。訪問者がそれに興味を持つかどうかは別の問題だけど、「展示」として、第一線部隊と同列に取り上げているのが偉い。

ひとつ注文を付けるとすると、資料類を充実させて、強力な図書室を作ってもらえると嬉しい。この点で素晴らしいのは名古屋のトヨタ博物館なのだが、航空自衛隊オフィシャルのミュージアムならでは、といわせるだけの紙資料や映像資料を集めることができれば、大人や専門家にも有用な博物館になると思う。
どうも日本では「博物館」というと子供受けを狙う傾向があるのだが、そろそろ「発想の転換」が必要ではないかと思う。

ちなみに、展示格納庫には零戦 52 型が置いてある。もとい、吊り下がっている。
多分、注目度の高い機体ゆえに、いじくり回されるのを避けるために地上に置かず、天井から吊ったのだろう。


天井から吊られている零戦 52 型。

ともあれ、いろいろと貴重な展示物もあるので、一度は訪ねてみても損はない場所だと思う。「子供だまし」などといわず、だまされたつもりで行ってみよう。
クルマがない場合は、市内からバスの便があるようだ。ただし、広報館に乗り入れる以外のバスは避けた方が無難。主要なバス通りからは、徒歩で 10 分以上かかる。

ところで。浜松というと、他所の土地の人は異口同音に「ああ、ウナギ」というのだが、別に浜松の人は毎日のようにウナギを食っているわけではない。ウナギを食べたいというのなら止めないが、地元民だからといってウナギ屋に詳しいわけではない点に注意しよう。
なんにしても、広報館や基地の周囲は飲食店が少ないので、本格的な食事をとるには市内に移動する方がよい。これは、基地の近所に 10 年以上住んでいた人間がいうのだから本当だ。

あと、広報館は月曜日に休んでいることが多いので、開館スケジュールはちゃんと確認してから出かけたい。私は一度、確認をサボったばかりに「休館日」に出くわして、一日を棒に振ったことがある。

URL :
http://www.jda.go.jp/jasdf/hamamatuhp/kouhoukan/kouhoukan.htm

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